現地隊員レポート             「りる」第70号より 

                                                    ボリビア     武田 紗里
                                                             平成27年度1次隊
                                         日系日本語学校教師
   

 武田紗里隊員が投稿した記事がJICAの「JICAボランティアの世界日記」(隊員の日常を日記として広報するブログサイト)に掲載されました。

 ご本人およびJICAの了解を得て、当会会員の皆様にその内容を紹介することとしました。

『以下、JICAボランティアHP「JICAボランティアの世界日記」
http://world-diary.JICA.go.jp/takedasari/person/post_4.php
より』

『自己紹介』
日系社会青年ボランティアの武田紗里です。

 南米ボリビアにある日本人移住地"サンフアン"で、日系の子供達に日本語を教えています!ここでの活動が始まり、一年になります。私が着任した2015年は、サンフアンは日本人移住60周年を迎えた年でした。60年前88名の方がこの移住地に入植され、今では743名の日本人、日系人の方々が暮らしています。JICAボランティアと聞くと、たくさんの方が、異なる言葉・異なる食文化の中で活動する隊員を思い浮かべると思いますが、私は、日本語、日本食、日本文化の中で生活しています。そんな、みなさんからすると不思議かもしれない日々の生活をお伝えしていきたいと思います!

『ボリビア全国野球大会』
少年野球の全国大会がサンフアンでありました!
サンタクルス県からはサンフアンチームが代表として出場し、他にはオルーロとコチャバンバのチームが出場しました。監督、選手合わせて90人程度。ボリビアでは、少年野球チームは全国でも5・6チームしかないそうです。サンフアンでは、移住者一世に野球好きがたくさんいらっしゃいます。「移住したころは、他に娯楽がないから仲間と野球ばっかりしていたよ。」と良く話してくださいます。

それは二世三世へと受け継がれ、サンフアンには社会人の野球チーム、青年の野球チーム、少年野球チームがあります。しかし、少年野球チームは団員が少なく、長年、試合ができる状態ではなかったそうです。

 私が赴任した一年前、子供達に好きなスポーツを尋ねると、みんな口を揃えて「サッカー!!」と言っていましたが、最近は「野球!!とサッカー!!」に変わってきました。
それにはいろいろな経緯があります。少年野球を支えている保護者の方に尋ねると、野球好きが増えた理由の一つは、青年野球チームのお兄ちゃん達が毎週野球を教えてくれているから。

 もう一つは、青年海外協力隊でボリビアに派遣されている小坂くん(野球隊員)と赤坂さん(ソフトボール隊員)が夏休みに教室を開いてくれたからと答えてくれました。普段、野球よりサッカー!の子供達も日本人の先生が野球を教えに来てくれると思うと、興味とやる気を出してくれるきっかけになるんだなと思いました。また、2月には福岡大学の学生が野球指導に来てくれました。これも子供達にとって楽しい思い出になったようです。

そしてそれらの機会を無駄にせず、その後も継続して少年野球チームを指導する青年達と保護者の方々がいらっしゃいます。やっぱり野球は日本のスポーツだから、子供達にも続けてほしい。子供を見守る青年や大人達のそんな想いで、サンフアン少年野球チームは、久しぶりの全国大会出場となったのでした。

 初めて他のチームと試合をした子供達。緊張している様子はとっても微笑ましかったです。

 これからも、『野球をボリビアの国技にする!』と宣言している若きコーチのもと、練習を続けて、チームプレイの楽しさをもつともっと体験してもらえたらいいなぁと思っています。

『日本舞踊に魅せられる!』
今回は週末にあった素敵な発表会のお話をします。土曜日、サンフアンの日本舞踊の会、美藤会(みふじかい)の発表会がありました。美藤会は、サンフアンの日系一世、二世の方々が先生になり、日本舞踊を教えていらっしゃいます。日本舞踊をならっている子供達は、放課後などに練習をしています。サンフアンを出て、町の高校に通っている子たちもこの発表会に向け少ない休みを利用して一生懸命練習していました。

本当に色鮮やかで素敵な舞台ですが、すべて美藤会に入っている子供の保護者の手作りです。着物も、演目に合わせ手作りしているものもあります。着付けはもちろん、日本髪も自分たちで結います。発表会は、30名ほどの出演者で演目は16曲!7歳の子供から日系一世の方まで、かわいらしい舞と艶やかな舞を見せて頂きました!

 日本舞踊の演目の間には、和太鼓愛好会の演技や、若者のJ-POPの弾き語り、コーラス部の発表もありました。私は、コーラス部に入っているので、「麦の唄」と「見上げてごらん夜の星を」を歌いました。和太鼓を叩いている子供たちは、タイヤにテープをぐるぐる巻いたものを太鼓代わりに演奏していました。もっと大きくなったら、中学生の先輩たちのように和太鼓をたたくことができます。がんばれ〜と微笑ましい気持ちで見ていました。

 日本でも、こんなにしっかり日本舞踊を舞を見たことがなかったので、本当に素晴らしい体験をさせて頂きました。何より、地域の団結や、継承していく力強さを感じました。やっぱりサンフアンはすごい!!!私が担当しているクラスの生徒達も出ていて、そのかわいさにほれぼれしてしまいました。月曜日、生徒達に会うのが楽しみです!