現地隊員レポート             「りる」第63号より 

                                                    東ティモール     山田 芽実
                                                             平成25年度3次隊
                                         写真
    

 

 東ティモールは南半球の小さな小さな島国です。21世紀最初の独立国で、まだ国としては12歳。国民の平均年齢も17歳(!)と、驚くほど若いパワーで溢れた国です。空港も、町も、山も、みんな海の近くにあって、活動している場所からは、なんと歩いて30秒で海。海を見ながらの自転車通勤はとても爽快です。夕方の浜辺はランニングをしたりサッカーをする若者たちで溢れています。

 私は現在、任地の首都ディリの観光省芸術・文化総局にて、局員に対しデジタル一眼レフカメラの入門的技術指導や、機材維持に対する理解促進及び環境づくりを行っています。東ティモールでは観光産業の発達・文化的振興が期待されており、私の配属先では建築物の修復保存活動、資料や蔵書の面での様々な研修提供を支援し、各地区に現存する多様な文化遺産の調査を通じて、地域社会と協力し事業を行っています。今、独立して間もないこの時代を現地の方たちと共に活動出来ているという事に感慨深い気持ちでいっぱいです。

 東ティモールの人たちは、少し控えめで意外に他人のことをよく見ているところは日本人とそう変わりません。地方に行くと、学校帰りの子供たちが皆大きな声で挨拶をしてくれます。こういった文化や習慣は日本に取り戻されるべき素晴らしいものではないかと感じています。

時間に対する感覚も、個人的に想像していたよりかは大幅にルーズというわけでもなく、真面目に仕事をし、やるときはやる人が多く、一緒に活動していてこちらが学ぶことも少なくありません。そして何より、基本的に子沢山で、それに加えて地方から出てきて親戚と共に生活することが多い国であるという影響からか、人と人の繋がりが目に見えるように濃いものだとも日々感じています。

 週末には、友人と共にカメラを片手にいろんな場所に繰り出しスナップ写真を撮影したりもしています。日差しが強い日中には家の中にいた子どもたちも、涼しい夕方になると、どこからともなく集まってきます。

カメラがそれほど普及しているわけではない中で、外国人の私に最初は怖がりながらも、興味津々にモデルになってくれます。おすすめの場所や仲のいい友達を自慢げに紹介してくれる子どもたちはパワフルで、笑いや驚きが絶えない時間にさせてくれます。

 国としては、まだまだ観光資源が近隣諸国と比べると弱く乏しいイメージがある東ティモール。インフラ整備が不十分であることや、東南アジアの一国としては物価の高さが頭一つ抜けているなどの点から、そのような角度からも観光客に対するアピールを意識し努力していくべきだろうと考えつつも、若い力が溢れているこの国には、いろんな可能性がこれからどんどん開けていくのだろうと思います。

 まだ半年、もう半年ですが、配属のスタッフと共に迷いながらも、東ティモールの魅力を引き出していけるような写真を一緒に撮っていけるように残りの1年半活動していきたいと思っています。