現地隊員レポート             「りる」第65号より 

                                                    東ティモール     山田 芽実
                                                             平成25年度3次隊
                                         写真
    


『近況報告』
 毎日が暑い東ティモールで、日焼けした肌が白く戻ることもないまま早1年と半年。協力隊としての活動は残り約半年となりました。現地の日本人やティモール人にまでも「まだ早いよ」と言われますが、もうすでにこの国を離れるのが悲しくなっています。

 見知らぬマラエ(外国人)にも元気よく挨拶をしてくれる人たち、海岸沿いの自転車通勤の爽快さ、その自転車に子供用の小さな自転車で競争を真剣に仕掛けてくるかわいい子供たち、おいしいティモール料理、綺麗な海や夕焼け、カメラを向ければ華麗にポーズを決めてくれる若者たちや、逆に恥ずかしがって隠れてしまうお母さんたち。ティモールのひとつひとつが今愛おしく、毎日を大切に生きなければいけない、と強く感じています。

 私の活動先は首都ディリの海岸沿いにある観光省芸術・文化総局です。5つの部局(総局・博物・遺産・図書・国務長官室)があり、彼らが日々行う業務やイベント記録、調査出張などで使用するデジタル一眼レフ撮影の習得が必要とされているため派遣が行われています。2年目に入った現在、定期的な写真講座を週2回、午前・午後の計4回行い、それぞれの局から1人ずつ、計5人を1チームとしてローテーションで講座を開いています。

受講者の局員の中には、カメラを触ったことがなく電池の入れ方や電源の入れ方もままならないような方も大勢います。そういった環境で講座を開く上で意識をしていることは「楽しんでもらう」「いいところを存分に褒める」「受講者同士で高め合う」の3点です。

これはどんなものでもそうだと思うのですが、何事も「楽しくない」と、それは言葉の通り「楽しくない」です。まずはカメラに慣れて、何も解らなくていいから、シャッターを押してみる。何かが撮れる。そのシンプルな嬉しさから学ぶ意欲に繋がればいいと考え、まずは楽しんでもらえるよう心がけています。

モチベーションがすぐに下がってしまったり集中力が切れやすい傾向も見られるため、いいところを見つけたらすぐ褒めることや、受講者同士でクイズを出し合ってもらったり、理解が早い人にはアシストをしてもらったりして互いに刺激を与え合える環境をつくることも重要だと感じています。

講座の内容は、前半は座学、後半は実際に撮影に繰り出しています。範囲は局の敷地内、と少し手狭ですが、学んだ基礎的な構図やボケを生かした写真などを早速工夫しながら熱心に撮影する彼らは、みんな素敵なフォトグラファーです。

 講座が回を増す毎に、時問を最初は守らなかった(すぐ忘れてしまう)人たちも、私が時間通りに待っていたり時間になると呼びに行くことで、最後の方にはちゃんと守ってくれるようになったり、早く来た人が他の人を呼びに行ってくれるなどの動きが見られるようになったことが嬉しかったことの一つです。冊子にして渡してある簡単なテキストも、今ではみんなの書き込みでいっぱいになってきました。

残りの半年を充実させたものにできるかはすべて自分次第。だれてしまうことも多々ありますが、一日一日をしっかり繋げていけるように活動を行っていきたいと思います。

※写真は全て写真講座中に局員の方たちが撮影したものです