帰国隊員レポート             「りる」第76号より 

                                                    東ティモール     山田 芽実
                                                             平成25年度3次隊
                                         写真
    

東ティモール写真作品展 「ninia」

東ティモールは南半球の小さな小さな島国です。

 私の任地の首都ディリは、空港も、町も、山も、みんな海の近くにありました。

 見知らぬマラエ(外国人)にも元気よく挨拶してくれる人たち、海岸沿いの自転車通勤の爽快さ、その自転車に子供用の小さな自転車で競争を真剣に仕掛けてくるかわいい子どもたち、おいしいティモール料理、綺麗な海や夕焼け、カメラを向ければ綺麗にポーズを決めてくれる若者たちや、恥ずかしがって隠れてしまうお母さんたち。

 インドネシアから独立して間もないこの国で、現地の方たちと共に活動できるという事に、感慨深い気持ちでいっぱいの2年間でした。

 私は2014年1月から2年間、青年海外協力隊として、東ティモールの観光省芸術・文化総局にて、局員に対しデジタル一眼レフカメラの入門的技術指導や、機材維持に対する理解促進および環境づくりを行なっていました。

 受講者の局員の中には、カメラを触った事がなく、電池の入れ方や電源の入れ方もままならないような方も大勢いましたが、まずはカメラに慣れて、何も解らなくていいから、シャッターを押してみる。何かが撮れる。

 そのシンプルな嬉しさから学ぶ意欲に繋がればいいと考え、まずは楽しんでもらえるよう心がけ、写真講座を開きました。講座が回を増すたびに、時間を最初は守らなかった(すぐ忘れてしまう)人たちも、私が時間通りに待っていたり、時間になると呼びに行くことで、最後の方にはちゃんと守ってくれるようになったり、早く来た人が他の人を呼びに行ってくれるなどの動きが見られるようになったことが嬉しかったことの一つです。

 講座で渡したテキストも、嬉しい事に最後には書き込みでいっぱいになり、座学と実際の撮影練習を重ねることで、彼らに自信が出てきたことは小さいながらも素敵な変化でした。

 活動では、現地のスタイルに振り回され、イライラして失敗も多く経験しましたが、それをフォローしてくれるのも東ティモール人の同僚や大家さん、時には街の見知らぬ人たちでした。

 「開発途上国に技術支援に行く」というイメージのある青年海外協力隊ですが、私はそれ以上に、日本では学べないことを現地の方に教えてもらったと感じています。

 それは東ティモールのことであったり、人間としてのシンプルなものでもありました。まだまだインフラ整備が不十分であることや、教育や医療の質の低さなど、これから取り組んでいかなければいけないことはたくさんあります。

しかし、力が溢れているこの国には、いろんな可能性があり、これからどんどん開けていくのだろうと思います。