現地隊員レポート             「りる」第51号より 

                                                       エチオピア  M.S.
                                                             平成21年度1次隊
                                         体育
    

 

『サラムノ!!』
「サラムノ?」アムハラ語で「平和ですか?」という意味です。道を歩いていると、多くの人が「サラムノ?」「デナネシ?(元気ですか?)」と私に話しかけてきます。エチオピア人は気さくで、明るくて、おしゃべりが大好きな人たちです。

 香川県青年海外協力隊を育てる会の皆様、いつも情報誌、文房具の送付などのお心使いいただきありがとうございます。

 私がエチオピアに来て4カ月が経ちました。今のところ、怪我も病気もなく、元気にやっております。

 配属先はエチオピアの首都アディスアベバにある中学校で体育教師として活動しています。私は9年生の体育のクラスを担当しています。エチオピアの学校制度は日本の6・3・3年制度と違って8・2・2年制度なので、私が受け持っているのは日本で言う中学校3年生にあたります。ちょうどやんちゃな年頃です。

 体育と言っても、エチオピアには体育授業で使える用具、教材が限られています。例えば、ボールは学校に4個しかないし、マット・跳び箱なんて物はありません。グラウンドは草だらけ、石もごろごろあります。もちろん平らではありませんし、鉄棒などの遊具はありません。授業は用具を使わないレクリエーションや、縄とびをしています。

 学校のグランド

 さてみなさん、エチオピアに対してどんなイメージをお持ちでしょうか?東京オリンピックのマラソン競技において金メダルを獲得した裸足のアベベは日本でも有名な選手です。近年でも、多くのエチオピア人がランナーとして活躍しています。エチオピア人は走るのが早い?持久力がある?そんなイメージでしょうか?残念ながら、そのような人はほんの一握りです。実際、体育をしていても何人かの生徒は非常に優れた才能を持っていますが、残りの子どもたちはそうでもありません。どこの国でも同じようなものです。そんな中、1クラス65人〜70人という膨大な数の生徒(しかもやんちゃな・・・)を対象に活動しています。

 体育の授業風景

 平日は配属先での授業、土日は体育の先生を対象に体育セミナーを行っています。現在首都には9人の体育隊員と2人のスポーツ隊員がいます。このメンバーで、体育授業で使える教材やゲームを紹介したりしています。というのも、こちらの先生は授業に来なかったり、来てもただ見ているだけだったり、という先生もいらっしゃるので、少しでも授業の進め方やネタを紹介し、体育授業を行う上での手助けになればよいと考えています。

 体育セミナー(1)

 私の活動、エチオピアの状況、少しはイメージしていただけたでしょうか?

ここからは、エチオピアでの生活についてお話したいと思います。まずは食べ物。主食は「インジェラ」というクレープを分厚くしたような生地に「ワット」(シチューやカレーに近いドロっとしたもの)をのせて、手で食べます。インジェラは「テフ」という穀物を粉状にし、水と混ぜて、発酵させてから焼きます。1回発酵させるものですから、においは酸っぱいにおいがします。最初は「まずい!」と思っていましたが、慣れてくると、この酸っぱさが癖になります。昼も夜もインジェラを食べるときもあるほど大好物になってしまいました。隊員の中には、1口も食べられない人もいますが、私は大丈夫です。

 体育セミナー(2)

米はタイ米、もしくはエチオピア米がありますが、おいしくありません。しかし、エチオピアはコーヒーの生産地でコーヒーやマキアートがとてもおいしく、しかも安く飲めます。いたるところにカフェがあり、1杯30円くらいです。でも今一番食べたいのは、じいちゃんの作ったうどんです!!

 続いて気候。私のイメージでは、アフリカは短パンにTシャツ、ビーチサンダル!というものでしたが、エチオピアに来て驚きました。とても寒いです。朝・夜は長袖、日中でも日陰や建物内は涼しく、長袖が必要です。しかし、首都アディスアベバは標高が2400mの高地のため、日差しはとても強いです。空気も乾燥しているため、暑くても汗をかきません。日本の夏のようなジト〜っとした感じはありませんが、そのかわり肌がどんどん乾燥していきます。体内の水分を奪われているような感覚です。6月〜9月まで、雨季で1日に1〜2回は土砂降りの雨だったのですが、雨季が終わればカラカラの毎日です。

 続いて民族について。エチオピアは80以上の民族から成っています。言語も様々で、首都ではアムハラ語ですが、田舎の町に行くと、他言語が使われています。その地域特有のダンスも有名で、肩を細かくゆすったり、高くジャンプしたりするダンスがあります。ダンス好きの私にとっては、とても興味深いものです。外国人の私が踊っていると、生徒、先生みんながダンスを教えてくれるし、上手だとおだててくれます。多くの民族から成り立っており、その数だけ文化、宗教、ダンス、言語などにおいて違いがあるものの、みんなが共存しているのがエチオピアです。

 現在、活動が始まって4カ月、現地語アムハラ語もまだまだです。これから長い目でエチオピアの生徒と向き合って、エチオピアでの生活を楽しみたいと思います。