現地隊員レポート             「りる」第54号より 

                                                       エチオピア  M.S.
                                                             平成21年度1次隊
                                         体育
    

 

『エチオピアより第2』
 香川県の皆様、こんにちは。エチオピアに赴任して1年が経ちました。私は、エチオピアの中学校で体育教師として活動しています。1年間、前期、後期の体育授業を通して、区切りが良い今、私の活動を含めて投稿させていただきます。

 前期(9月〜1月)。体ほぐしの運動、用具を使わない運動、なわとび、エアロビクス、簡単な空手、護身術の単元を行いました。はじめは、出欠の取り方や並び方をどうするか、試行錯誤の毎日でした。中学生には英語がほとんど通じず、かといって現地語のアムハラ語もまだまだしゃべれず、意思疎通もできていませんでした。生徒はだらだらするし、服も着替えないし、少し疲れたら休憩しに行くし、体育の授業というよりも、自由時間でした。

生徒のお昼ご飯(インジェラ弁当)

 後期(2月〜6月)。バレーボール、マット運動の単元を行いました。後期から、生徒をグループごとに分け、リーダーを決め、出欠もリーダーに取らせるようにしました。どこのグループが来るのが早いだとか、並ぶのがきれいだとか言っているうちに、リーダーが列を並ばせる、という光景が見られ、これは良かったと思います。しかし、少し目を離すと、欠席なのに出席のマークを付けているリーダーもいます。この1年、「嘘と泥棒が一番嫌いだ!」と何回叫んだことでしょう。アムハラ語もかなり話せるようになり、今では生徒を叱るときもアムハラ語です。「ウシャット、ウンナ、レバ、アンテニャ アルワダム!」(嘘と泥棒が1番嫌いだ!)

 バレーボールですが、学校には2つのバレーボールとーつのコートしかありません。しかし、生徒は1クラス70人です。そこで、ペットボトルと新聞紙などの廃材、ガムテープを使って、ボールを作りました。10人に1つのボールで円陣バレーをさせていましたが、生徒たちの楽しそうなこと。これまで、満足にボール運動をしていなかったのが目に見えるほどの下手さ。生徒の活発な活動を見ると、私も楽しくなります。が、ボールを回収するときには1個足りないやら、無くなったやら。楽しすぎて、泥棒してしまったのでしょう。こういうことが5回以上ありました。どっと疲れます。そしてまた、あの言葉を叫ぶのでした。「嘘と泥棒が1番嫌いだー!!」

円陣バレーの風景

 その後、マット運動の授業をしました。前転、後転、側転、ロンダート。マットは、日本のようなフカフカのマットではありません。中身はわらです。わらを包む布もボロボロなので、よくわらが出てきます。体育館もありませんから、運動場にマットを敷いて行うわけです。運動場も平らではありません。草が生えていたり、石がぼこぼこ出ていたりします。そんな場所に薄いマットを敷くものですから、たまに石にぶつかって、頭や背中が痛いです。それでも、生徒はテストだというと頑張ってやります。(テスト以外は手を抜きますが)

生徒たちの写真

 日本で、体育の授業をしていたときはたくさんの設備、用具があって当たり前の環境でしたが、ここに来て、満足な用具がない環境の大変さを感じました。しかし、廃材をうまく使ったりして自ら作り出すことも出来ます。残り1年、頭をやわらかくして、この環境をうまく利用していけたらと思います。

 エチオピアは6月下旬から9月中旬まで、雨季に入ります。雨季と言っても日本梅雨のように1日中雨が降ることはなく、夕方から夜の一定の期間、どしゃぶりの雨が降ります。エチオピアの学校はこの雨季の間、生徒も先生も2ヶ月半ほど休みになります。この休みの期間を使って、エチオピア隊員では日本紹介イベント「Japan Festival」を企画中です。次の投稿では、その報告ができればと思います。