図書室新設の願い
(小さなハートプロジェクト)  
「りる」第12号より

     ガーナ           S.K.

                     平成7年1次隊

                     理数科教師

 

 日本の皆様は学校に必要な施設といえば何を思い浮かべるでしょうか。校舎、校庭、講堂(体育館)、図書館などいろいろあるでしょう。ガーナでも地方では、屋根しかないとはいえ校舎はありますし、広いグラウンドもあります。講堂などは都市部の学校にある程度で、集会は大抵木陰で行われますが、図書館に関して言えば、ほとんどの学校には小さいながらもそれなりの施設はあります。

 私の勤務校でも昨年は使われていない教室に数少ない蔵書を並べて図書室として利用していましたが、新年度になって生徒数の増加により全ての教室が塞(ふさ)がってしまい、図書室というものがなくなってしまいました。学校の予算はと言えば、新入生用の机・椅子の製作費で手一杯で、とても図書館用の小屋を新設できるどころではありません。そうした中で、生徒・教員の図書館設立への要望はますます高まり、その解決策として「小さなハートプロジェクト」あるいは大使館を通しての小規模無償援助のいずれかに申請しようということになりました。

我々は、主に以下の3点において図書館を有効活用しようと考えています。


(1)生徒の自学・自習用

 一部の生徒は、電気が来てさえいれば、夜遅くまで学校で勉強しています。教員がいない科目は教科書を頼りに自分で学ぶしかないのですが、その教科書はお世辞にも内容が整理されているとは言えません。分かり易くまとめられた参考書もありますが、現在はそれが倉庫で眠っていたりします。これらの文献を図書館で生徒がいつでも好きな時間に参照できれば、学習効率が大幅に上がるものと期待されます。

 また、ガーナの理数科教師隊員で現在のところ理科・数学の問題集を作成中で、これらは完成次第各学校に配布される予定です。この問題集も図書館に設置して、生徒の自習に大いに活用してもらいたいと考えます。


(2)教員による効果的な授業への活用

 まず英語、フランス語等の語学の授業において、図書館は様々な形で利用されるでしょう。特に英語に関して言えば、日本の英語教育において常に指摘されるのと正反対で、ガーナの生徒は会話能力はあるものの文章読解能力が非常に乏しいのです。このことが他のほとんど全ての教科を学ぶに当たって大きな障害となっています。この問題解決のため、英語教師は生徒をできるだけ多種多様な文章に触れさせたいと考えています。これなどは、図書館の存在なくしては不可能でしょう。

 私の担当する理科でも、本物に接するということは非常に重要なことです。実物が無理な場合でも、「百聞は一見に如かず」と言うように、文章による説明よりも一枚の写真の方がはるかに効果的なのは言うまでもありません。百科事典等書籍の充実は今回の援助対象ではありませんが、その受け皿、活用の場としての図書館の必要性を強く感じています。


(3)地域住民への開放

ガーナでは、学校を卒業しても働かない若者が結構います。仕事がないというのが主な理由ですが、中には卒業資格試験を再受験して大学や専門学校に進学しようと勉強している者もいます。そんな彼らが利用できるものといえば、自分が在学中に取ったノートぐらいしかありません。教科書は在学中に貸与されているだけで卒業時には返却しなければならず、都市部の本屋で売られているような参考書は高くて手に入りません。我々は、こうした若者たちに勉学の場を提供することも、図書館の重要な役割であると考えます。

 図書館完成後に徐々に揃(そろ)えられるであろう書籍は、大部分が地元からの寄付等に頼らざるを得ないでしょう。従って、この図書館も、学校関係者のみならず地域の皆が利用でき、この地域の文化向上に貢献できるようなものになることが期待されます。

 

 
慣れない餅つきに悪戦苦闘のガーナ人と笑いながら見守るギャラリー 右端K隊員



 現段階では、この図書館建設が「小さなハートプロジェクト」または小規模無償援助のいずれに申請されるかは決定していません。援助規模(必要金額)がある程度大きい場合には、大使館へ申請するしかありません。しかし、もしも「小さなハートプロジェクト」に申し込めると決定した際には、香川県の皆様の御協力を賜わりたく、お願い申し上げます。

 

  ガーナ第2の都市クマシにて同期隊員と後列右端K隊員