今日も元気です   「りる」第22号より

                                                    ハンガリー  U.H
                                                             平成10年度2次隊
                                       野球
                                                                

        

   みなさん、ごぶさたしています。約1年振りの登場となります。今日もまた、午後の一時を、コーヒーを飲み、辺り一面の銀世界を眺めながら原稿を書いています。1杯目のコーヒーで、この1年間を振り返り、今、2杯目のコーヒーを飲みながら清書をしています。

 さて簡単に、この1年間の活動を振り返りたいと思います。9月末まで、ハンガリー東部のべーケッシュ・チャバ市で活動しました。
 4月初旬より国内2部リーグの前半戦が開幕し、6月中旬まで行われました。2部は、東西6チームずつの計12チームで構成され、前半は東部6チームによるリーグ戦です。我がチームは比較的に戦力が整っており、まして私も選手として出場することにより、4勝1敗の東部地区首位として前半を折り返すことができました。

 しかし、みんなやれば出来るのに、練習に来ない!4月の最初だけ7・8人集まっていましたが、それから段々と減っていき、6月、後半の8月・9月は、たいてい自分を入れて、平均3人、または4人での練習でした。練習は、火曜から金曜までですが、練習時間になっても誰も来ないことが、2・3回あり、自分でも気が滅入って、「こんなつもりでハンガリーに来たんじゃないのに」と思う日々が続きました。でも先輩隊員から、「一人でも練習や授業に来れば、その人の為に自分の出来ることを精一杯して、それで一人でも自分の教えたいことが分かってもらえれば立派な活動だ」ということを聞き、気持ちを切り替えることが出来ました。

 そうこうしているうちに、8月末より、後半戦が始まりました。後半は東西リーグ上位3チームによる、一部リーグ昇格をかけてのリーグ戦です。優勝すれば自動的に一部昇格、二位チームは一部最下位チームとの入れ替え戦です。我がチームは、練習を十分に行っていない為、苦戦を強いられますが、なんとか勝ち、9月26日の対ソンバトヘイ戦では11対1の8回コールド勝ちを収めることが出来ました。この試合は、ミスも少なく、試合後に、「今日は自分がここに来て一番いい試合だったよ」と誉めるとみんな喜んでくれました。技術的には、まだまだですが、この時の様な試合が出来れば、日本の高校野球の地方予選でも、一・二回は勝てると思い試合に向かう列車の中にいます。

  試合に向かう列車の中で

 さて、10月10日、4戦全勝で、この試合に勝てば優勝という、もう一度、対ソンバトヘイ戦です。先取点は取られますが、ピッチャーのゾリ君が6回まで力投でわずか一失点です。でもこの試合でアクシデントです。3回表、四球で一塁に出塁した時に、牽制で一塁ベースにすべり込んだ時に捻挫をしてしまいました。暗い雰囲気の中、何回か二死、2塁、3塁までは、ランナーを進めるもののその後の一本が出ず、逆に7回8回に追加点を取られ、6対0で完封負けで優勝は次週に持ち越しになりました。

 いつも試合で私は出塁すれば、すかさず盗塁をしていたので、試合の流れを変えることが出来ず残念でした。ハンガリーでは、盗塁を刺せるバッテリーは数チームしかありません。我がチームのゾリ君、タマーシュ君(捕手)バッテリーは、ある程度盗塁を刺せますし、ゾリ君は、四死球も少なくコントロールもいいので安心して見ていることが出来ます。スピードも120Km程度で二部では十分に、一部でもある程度通用すると思います。

 さて10月16日、対デブレツェン戦(実は現在赴任しているチームでこの時はもうデブレツェンにて活動し、試合だけべーケッシュチャバでプレーしていました。)8回表迄6対1でリードされていましたが、相手チームのエラー、ラーツィ君の2塁打などで大逆転、9回表を守り抜き7対6で2部リーグ優勝を果たすことが出来ました。

 このラーツィ君が真面目に来た選手で、野球を始めたのが去年からで、ほとんど初心者です。彼とほとんど二人三脚で練習した様なものです。最初はトスバッティングも思うように出来ませんでした。しかし、毎日の練習の成果というのは、彼をそこまで成長させていました。彼とはトスバッティング、キャッチボール、捕球練習、軽いノック程度と基本的なことしかしませんでした。任地が変更となった今は、彼がもっと上達することを願います。

 話は変わりますが、祝勝会では大いに盛り上がり、選手達は、ハンガリー国歌を、自分は君が代を斉唱し、その後酔っぱらったヤーノッシュ君は何度も私のほっぺたにキスしていました。この日ばかりは、成果が結果となり、感動も一入でした。来年自分のいないべーケッシュチャバの選手達がどんな試合をするのか心配ですが。この後連盟からリーグ再編の提案があり、来年一部で試合ができるか分かりませんが、2部優勝の自信を持って頑張って欲しいと思います。個人的にも彼らが一部リーグで試合が出来ることを祈ります。

 さて10月よりハンガリー第2の都市デブレツェン(首都ブダペストより東へ200Km、人口20万人)で活動しています。ここの選手達は真面目で、走ることを苦にしません。しかし徴兵と親の転勤で2名の中心選手が欠け、スポンサーも少ないことなど、いろいろと問題があります。幸い少年野球のチームもあり、なんとか少年・成人チームのレベルの底上げを図りたいと思います。

 ようやく一年が過ぎハンガリーの生活にも慣れましたが、恥ずかしながら言葉はまだまだです。時間があれば勉強しているのですが、聞きとりがダメで何を言ってるのか、さっばりです。適当に笑ってごまかしていますが・・・。さて協力隊活動も折り返し地点にさしかかりました。ハンガリーに来た当初の初心を忘れずに、頑張りたいと思います。この記事が届く頃には、捻挫が回復していることを願います。そして飲み過ぎにも注意したい!と思います。(ワインがおいしいんです。)それでは、またお会いしましょう。

 国会議事堂