帰国隊員レポート             「りる」第70号より 

                                                    インド     太田 詩織
                                                             平成26年度2次隊
                                         日本語教育
   

『2年間の活動を終えて』
「なんて空気がおいしくて、なんて素敵な青い空なんだろう」成田空港に下り立った瞬間に感じたことでした。私が2年間住んでいたのは、大気汚染の進行が世界一と言われる場所、インドの首都デリーでした。当然、青い空やきれいな空気とは無縁の地で、地面にはごみの山々、視界一面霧のかかった景色が広がるばかりでした。こんなにもひどい場所だったにも関わらず、帰国して3か月たった今も「帰りたい」と日々思っています。

それはどうしてかと様々な方から尋ねられますが、自分自身でもわかりません。外国人を見ると温かく出迎えてくれ、道に迷っていると助けようと人だかりができ、何よりも第一に家族や友人のことを大切にし、「ご飯は食べたか」と自分の少ないご飯を分けてくれる人々。そんなインド人が恋しい今日この頃です。

 帰国して数日後、最もうれしい出来事がありました。私の教え子たちが研修で日本を訪れたのです。裕福とは言い難い生徒たちが、様々な方の協力のもと日本訪問を実現させ、再会を果たせたことは、言葉には言い表せない喜びでした。
日本を訪問した生徒たちと

2年間共に過ごした生徒たちでしたが、日本で会うとこれまで見たことないような高揚感あふれる笑顔で過ごしていて、自分の活動の成果を目の当たりにしました。「いつか日本で働いて暮らしたい」と語ってくれた生徒たち。任期を終えてからではありましたが、一番嬉しかった瞬間でもありました。

 私はインドが大好きです。様々な歴史的建造物、まるで時が止まったかのような古い町並みや行き交う人々、美味しい料理の数々、さらに、私の周りのインド人はみんないい人たちばかりでした。特に大家さんはまるで娘のように扱ってくれて、いつも心配してくれました。

インドの祭日やイベント事には、いつも参加させてくれて、毎回様々なインド料理をふるまってくれました。日本語を積極的に勉強していて、私の連れてきた日本人の前での自己紹介もお手の物です。私の生徒よりも優秀な生徒でした。私が素晴らしい2年間を過ごすことができたのも大家さんのおかげです。
愛する大家さんと

 いつかインドに"帰国"して、そんな皆さんに恩返しをしたいと思っていますが、それはまだ先のようです。次はカンボジアで3年間の勤務が決まりました。日本語教師ではありませんが、私が望む国際協力に携わる仕事なので願ったり叶ったりです。この話が舞い込んだのは、帰国して1週間足らずの出来事でした。

出前講座の際に出会った方から紹介していただいた話は、まさかの学生時代に魅了されたカンボジア。そして携わっているのは、4年前にカンボジアでお世話になったことのある日本人の方。これは運命かと耳を疑ってしまいました。それから
話はあっという間に進み、カンボジア出発まであと数日です(2017年1月現在)。

 今後、この授かったチャンスを最大限に活かしていきたいです。次なる新天地カンボジアでの生活がどうなるかはここには記すことができませんが、温かく見守っていただければ幸いです。
カメラが大好きな子供たち