現地隊員レポート             「りる」第58号より 

                                                    ヨルダン   N.M.
                                                             平成22年度1次隊
                                         環境教育
    

 

『アラブ生活』

 香川県の皆さん、こんにちは。現在、ヨルダンに派遣中の環境教育隊員の松下倫尚です。ヨルダンに派遣されてから1年半以上が過ぎ、残り任期もわずかとなりました。巡回しているアインアルバーシャ地区の学校の環境クラブでのボランティア活動もいよいよ終わりを迎えようとしています。活動最後の日まで自分がでぎることを全て出し切って、気持ちよくこの2年間の任期に幕を下ろしたいと思います。さて、今回はヨルダンの暮らしについて少し触れていきます。ムスリム(イスラム教徒)である彼らの一日の始まりは、明け方のお祈りからスタートします。もちろんお祈りをしない人もいます。

 お祈りは一日のうちの決められた各時間にしなければならないのですが、忙しかったり、移動中だったりなど理由がある場合は、後でまとめてお祈りすることが許されています。その後、仕事のある者は働きに出かけ、だいたい十時頃に朝食を取ります。朝食は、一般的にホンモスやファラーフェルといったひよこ豆をベースにペースト状にしたものと油で揚げたもので、それをホブズ(パン)につけたり、野菜と一緒にサンドイッチのように巻いたりして食べます。

 昼食は三時頃で、夕食は九時頃となっており、赴任当初は一見、不規則な生活なのではと思いましたが、いつのまにかその食事習慣に慣れてしまいました。また、人を家に招待することを礼儀としているようで、いつでも歓迎態勢に入っている彼らの姿勢に、日本はない新鮮な親近感を感じました。「アハラン ワ サハラン(ようこそ)。クッル ヨーム タアール(毎日来い)。」彼らはお腹が大きいだけではなく、心も大きいのだなと感じました。飲み物はコーヒーと紅茶が主流で、一日にかなりの頻度で飲むうえ、彼らは砂糖を大量にいれます。

以前、同僚に日本の緑茶を差し出したところ、彼は一口飲んだ後に、すぐに砂糖を入れました。どうやらここでは甘くなければ飲み物とは認められないようでした。それを証明するかのように、ヨルダンでは糖尿病患者がかなりたくさんいます。おまけに煙草やアルギーレ(水煙草)の喫煙率が男女ともに非常に高く、さらに運動も特にしないというわけで不健康な人間がかなりの割合を占めています。とにかく労力をなるべく使わずに好きなことをして、楽しく生活するという暮らしを現地人は求めています。

 確かに人間誰しもが思うことかもしれません。人間は生活水準の維持、そして利便性のさらなる向上を目指していますが、その日暮らしだけで精一杯の人は世界中に大勢います。暮らしの豊かさというのは個人差があって、それは個人的にも興味深いもので、中東地域内でも豊かと感じることは、人によって様々であることをこの派遣中に改めて考えさせられました。