現地隊員レポート             「りる」第65号より 

                                                    ヨルダン     森 佑一
                                                             平成26年度3次隊
                                         環境教育
   

『ヨルダンに来て5ヶ月。』

 ヨルダンに青年海外協力隊としてやってきて約5ヶ月経ちました。協力隊の受験や訓練開始から数えると一年ほど経ちます。ここまで楽しいことも大変なこともあり、短かったような長かったようなどちらとも取れる心境ですが、これまでの任地での生活や活動を通して経験して知ったことや感じたことを紹介します。

・文化や生活習慣
ヨルダンは国民の90%以上がイスラム教徒ということで、生活の中心にイスラム教が根付いています。毎日5回、お祈りの時間を知らせる「アザーン」もヨルダンに来た当初は聞き慣れず落ち着かないところもありましたが、今では聞き慣れて当たり前になっています。またお祈りの時間になればイスラム教徒の人々は仕事中でも外出中でもお祈りを行う姿から、やはりイスラム教が生活の中心にあるということを実感します。

 その為、イスラム教の教え(お酒を飲まない、毎日5回お祈りする、豚肉を食べないなど)をしっかり守った生活をしている人が多く、日本との宗教観や文化の違いからいろいろな面で注意をしなければいけない点もいくつかありますが、その点を押さえておけば、アラブ人は基本的に明るくフレンドリーな人が多いので楽しく仲良く付き合うことができます。

 またヨルダンに限らずアラブ文化の食事は、朝食が11時頃、昼食が15時頃、夕食が20時頃といった様に、日本と食事のタイミングが異なっていて、朝食では主に伝統的なアラブ料理であるホンモス(ヒヨコマメをペースト状にしたもの)をホブズ(ピタパンの様な小麦粉のパン)につけて食べるのが定番です。

そして昼食にマンサフ(ブロードというヨーグルト製品の一種で煮込まれた羊肉を米に載せたもの)やマクルーベ(伝統的な炊き込みご飯)を食べるなど、昔からの伝統が今も残っています。その一方で、首都のアンマンは観光客や外資系企業なども多く高層ビルが立ち並び、カフェやバーなどもあり近代的な町並み、ライフスタイルになっています。

・現地での生活
2月の半ばに任地のザルカに入ってから4ヶ月ほど経ち、生活にもだいぶ慣れてきました。ザルカはヨルダンの3大都市のひとつで工場が多く労働者の往来が多い工業都市です。その為、特別観光資源などは無いのですが、ヨルダン各地域へのバスの路線が多く移動にはとても便利な場所です。現在、市街地から少しはなれた住宅街のアパートに住んでおり、朝7時過ぎに出勤して午後4時前に帰宅し買い物や料理などをして過ごしています。

 また街中を歩いている時などに知らない人から声をかけられることも多く、そこでの交流も楽しんでいます。また大家さんを始め、少しずつ居住地域で知り合いもでき、帰宅後に時折自宅に招かれて一緒に食事をして交流をする機会を持つことも多くなりました。その他の地域でも時折会う友人もできるなど少しずつですがアラブ人との人間関係も広がってきています。

 また、ヨルダンでは休日が金曜日と土曜日なのですが、その休日を利用してヨルダン各地に観光に行っています。ヨルダンには世界遺産のペトラ遺跡をはじめとした遺跡群やワディラムという広大な砂漠などがあり見所も多く観光資源が数多く存在しているので、今後一年半で様々な場所を訪れヨルダンを深く知りたい思います。

・活動の状況
2月半ばに任地のザルカに配属になってから約一ヶ月間は、新規の要請での配属であったことや自分自身来たばかりで何をすればよいのか分から無い状態で、まずは教育局に慣れるために日々職員の人たちとお茶を飲んで交流するといった状態でした。

 その後、先輩隊員達とともにザルカにて教員向けの環境ワークショップをしたことをきっかけに次第に各校から環境教育をしに来てほしいという要請が来るようになりました。その背景には工業都市ゆえに汚染やゴミの問題があり、もともと環境教育に対して積極的な先生が多かったのではないかと考えられます。

 そうして4月頃には様々な学校に一日、一週間など期間はまちまちですが学校巡回を行うようになりました。これまで環境教育に対して実務経験がなく言葉の壁もあり、どうすればいいのかわからない状態の中、学校からはリサイクル工作に対するニーズが多くあったので、新聞紙やアルミ缶などの廃材を利用した工作をメインに活動を行いました。また突然学校に呼ばれて状況が分からない中、いきなり授業を行わなければならないという状況にとまどうことも多々あり、臨機応変さの必要性も強く感じました。

 しかしながら、5月に先輩隊員とともに実施したゴミ拾いイベントでは、多くの学校や生徒に参加してもらうことができ、環境教育活動に対する認知をさらに広げることができたように思います。今後も定期的に実施していきたいと考えています。

 現在は学校が夏期休校中ということもあり、自身の環境教育の活動も一時停止の状態なので、この約2ヶ月の休校期間中に8月後半より始まる次学期に向けた授業案や教材の作成に取り組み、引き出しを増やし様々な状況に対応できる準備を行いたいと思います。


伝統料理ホンモス

伝統料理マルクルーベ

教員向け環境ワークショップ

自分

ザルカの街

ザルカ教育局

カウンターパート

ゴミ拾いイベント集合写真