OB・OG活動     「りる」第45号より

                                                    カンボジア   Y.N
                                                             平成17年度1次隊
                                     理数科教師
                                                                


『帰国にあたって』

 今日、私は2年間の協力隊活動を終えカンボジアを発ちます。カンボジアで過ごした2年間は私にとって貴重な時間でした。出国を目前に控えた今、思うことは、この時にカンボジアのタケオ州で生活できたことが大変幸せだったということです。

2年間を振り返って思うこと

 それは、人に恵まれたということです。私が赴任した当初は私の周りには日本人はおらず、信用していいのは誰なのか分かりませんでした。しかし、学校の先生をはじめ、ボランティアで教えていた日本語の生徒や大家さん、近所の人たちみんなが私の事を気にかけてくれました。

  先生の家で生春巻きをごちそうになります

ご飯に誘ってくれたり、家に遊びに来てくれたり、少し遠くへ遊びに連れて行ってくれました。また、何処でも笑顔で声を掛けてきてくれました。このタケオの人々の温かさが私には大変居心地がよく大好きです。どうして、突然来た外国人の女の子を家族の一員として受け入れてくれるのか私は今でも不思議で一杯です。

私のカンボジア生活の中で欠かせない人

 それは私の赴任校の家庭科の先生です。彼女は家族、親戚ぐるみで私の事を可愛がってくれました。ご飯に誘ってくれたり、伝統行事があれば誘ってくれたり、私が活動のことで悩んでいると私の愚痴を聞いてくれました。この家族と一緒にいるだけで十分でした。

 家庭科の先生の家族

彼女の家族は私の第二の家族です。先日私の家に泥棒らしきものが現れた時には親身になって悔しがって、私の事を心配してくれ『今夜は私の家に泊まっていきなさい』と言ってくれました。泥棒をするのもカンボジア人、その事を悔しがり被害者の私をかわいそうに思うのもカンボジア人。私は泥棒に入られすごく怖く、苛立ちを覚えましたが、彼女の様に親身になって悲しがってくれるカンボジア人に触れると心が救われました。

 彼女の家族と一緒に過ごすことで私は大事なことに気付きました。それは家族と共に過ごすと安らげるということです。ご飯を作っている時、洗濯をしている時、ご飯を食べる時、テレビを見る時、寝る時、いつでも家族が周りにいます。そしてとても賑やかで楽しいのです。

子供に『家の手伝いをしなさい』と言わなくとも、大人がしていることが自然と眼に入ってくるので子供は自然とやるべきことが分かるのです。もしかしたらこれは昔の日本もそうであったのかもしれません。いつも誰かが周りにいて話をすることはとても楽しい事だと、当たり前のことですが実感しました。人がいればそれだけでいい、のだと感じました。

  お世話になっている別の赴任校の先生の家族

 日本語の生徒もまた私のカンボジア生活には欠かせない人です。彼らは毎日夕方私の家に来ては日本語の勉強をします。彼らはそれだけではなく、家からご飯を持ってきては一緒に私の家で食べたり、私の家の掃除を手伝ってくれたり、ただ単に話をしに家に遊びに来ます。

先日、協力隊を育てる会から送られたDVD『うどん』を彼らと一緒に見ました。自分の故郷を彼らに知ってもらいたかったからです。言葉が全て分かるわけではありませんが、彼らはすごく真剣に見ていて興味深々でした。この場をかりて、DVDのお礼を申し上げます。私は自分の配属先での活動が行き詰まる時などは、彼らと接することで気分転換ができたり、彼らと話す中でいいアイディアをもらえました。

  DVDを見る日本語の生徒

 カンボジアは障害者や物乞いの入が多く、やはり貧しい国です。しかし、その中でも正しく生きている人、外国人の私を受け入れてくれる優しい人がいます。貧しいからといって幸せでないとは限りません。途上国と言われていますが、人と人との触れ合いが何処でもあり、いつも笑いが耐えないカンボジア。そのカンボジアが私はうらやましく、そこでの生活が大好きです。

  科学のアンモニアの噴水の実験の最中

  科学の実験器具の使い方を学校の先生に教えているところ