アフリカからもらったもの  「りる」第8号より

     マラウイ        R.M.

                     平成3年2次隊

                     保健婦

 

 私は、平成三年十二月から平成五年十二月まで、青年海外協力隊員として、中央アフリカのマウライという小さな国に、保健婦として派遣されていました。マウライは、他のアフリカ諸国と同じく、農業を主要とした貧しい国です。この国もまた、多くの発展途上国がかかえている様々な問題(教育、保健衛生、医療、農業等)に直面しています。このような、日々の現実を目のあたりにしながら、自分の無力を感じながら過ごした二年間でした。

 

 しかし、そこでの生活が、私の考え方を、百八十度変えるものとなりました。今まで、途上国に対して、かわいそうな国、死にいく子ども達をみて、日本に生まれたならこんなことはないのに・・・といった目で見ていました。アフリカでも、しばらくそういった見方でしか人々を見ることができませんでした。その間はなかなか自分の思うような活動ができず悩んできました。

 

  2ヵ月に1度、離島への巡回検診

 


 しかし、ある時、死んだ子供の母親からお礼を言われました。病院にこられただけで、幸せだと。私はこの時、自分の愚かさに気付いたのです。彼らは、自分の国を愛し、自然の営みのなかで、厳しい環境のなか明るく、逞(たくま)しく、家族が助け合いながら必死で生きている。それを、貧しさ故に、同情の目でしか見なかった自分。それからは、日本と比べるのではなく、その国のあるがままの姿を素直に受け入れていくようになりました。

 

そして、人々がその人らしく元気で楽しく生活できるにはどうしたらよいか、現地の人々と共に考えて行動するようにしました。栄養改善のため大豆栽培をしたり、村の乳児健診が雨期のときにでもできるように、小屋を作ったり。そのような活動を通して私もまた自然の素晴らしさや人々のたくましさを教えてもらいました。

 

  現地の子供達とM隊員

 


 協力隊活動を終え、日本に帰ってからも、何らかの形で国際協力に関わっていこうと思っていました。そんな時、国際ボランティア貯金を知り、即、加入しました。アフリカでの経験で、肥料や野菜の種の購入、井戸を保護するセメント等、村の開発に必要なお金が自由に使えることができれば、活動もスムーズにできるのに・・・とよく思いました。

 世界各国では、草の根レベルで、現地の人々と共に活動している人がいます。国際ボランティア貯金は、そういった人々に役立てられるとのこと。大変、素晴らしいことだと思います。

 現地の事情をよく知っている人達に使ってもらってこそ、お金は有効活用されていくことでしょう。

 同情ではなく、友情の立場にたって、これからの国際協力を考え続けていきたいと思っています。そして、今後も、国際ボランティア貯金が発展し、一人でも多くの人が、その人らしさ、その国らしさをとりもどし、元気で楽しく生活できるようになることを願ってやみません。

   離島検診の折、お風呂の準備をしてくれている子供たちとM隊員 (りる13号から)

 

 

  赤ん坊にポリオの予防接種をしているところ (りる13号から)