現地隊員レポート             「りる」第54号より 

                                                    ミクロネシア   Y.K.
                                                             平成21年度3次隊
                                         環境教育
    

 『コスラエを駆け抜ける!』

 「Tuwoh(ツゥオー)」このコスラエ語の意味は「おはよう」です。

山の上から見るコスラエ

 早いものでコスラエへ赴任して1年が経とうとしています。私が取り組んでいる環境の啓発活動について触れます。現在コスラエ州立病院(コスラエ島唯一の病院)の医療廃棄物分別の啓発活動を行っています。医療焼却炉が五年間故障で休止しており、ゴミ処分場で注射針が発見されるなど環境的に大きな問題となっておりました。そこで州立病院とコスラエ州運輸・インフラ局(DT&I)にそれぞれ所属しているシニア海外ボランティアの2人の方がJICA側の焼却炉の資金工面の中心となり、DT&Iが実際に工事を行い8月27日(金)に簡易医療焼却炉が完成しました。9月2日(木)に完成を祝うセレモニーが行われ、私はコスラエ語で簡単な祝福のスピーチを行いました。

 簡易医療焼却炉は完成しましたが、注射針などの医療廃棄物がまたゴミ処分場やいろんな場所に捨てられているようでしたら全く意味を成しません。病院にはミクロネシア連邦病院共通マニュアルがあり、その中にはしっかりとしたゴミ分別表もあるのでまずは病院の全ての場所のゴミ箱の状況確認を行い、分別できていないようであればこのゴミ分別表に基づいての啓発活動を行う事を決定しました。

病院の公衆衛生のディレクターと私の配属先のKIRMA(コスラ工州資源管理委員会)のスタッフ、病院配属のシニア海外ボランティアの方と私で状況確認を行いました。分別はあまりできていませんでした。また五年間医療焼却炉が故障していた影響で、部屋の一室が注射針等の医療廃棄物で埋まっているところもありました。この蓄積されていた医療廃棄物は新しくできた簡易医療焼却炉で全て焼却処理を行いました。ゴミの分別ができていないところには、適切な分別方法の情報共有を行いました。

このゴミ分別表が記載してあるミクロネシア連邦病院共通のマニュアルが存在している事も知らない病院のスタッフが多く、またマニュアルの数が全く不足している事も分かりました。これでは医療廃棄物をどう分別するのか、スタッフが理解できる環境ではない事にも気づきました。また分別するためのゴミ箱、マニュアルに準じて用意すべき色別の袋(黒、赤、黄)が明らかに不足していました。

病院のスタッフも少しずつ分別に対する意識改革が始まったと思います。医療廃棄物の改善にはまだまだ時間がかかります。改善すべき課題もたくさんあります。改善に向け少しずつ動き始めたのは確かなので今後も継続して根気強く啓発活動を行っていきます。

他に行っている活動は主にKIRMAスタッフの現場の仕事の手伝いです。森林管理部の仕事の手伝いでは、成長が断然早くて他の植物の成長を妨げる植物の伐採などをKIRMAスタッフと共に暑い中取り組んだりもよくしました。私の活動はKIRMAスタッフやコスラエアンと共同での現場密着活動です。オフィスにいるだけでは分からない、現場でしか感じとれない事もたくさんあります。ゴミ処分場の水質検査も継続して行っています。

現在測定項目はCOD(化学的酸素要求量)とPH(水素イオン濃度)とE−coil(大腸菌)です。CODを測定する簡易パックテストの試薬が切れたのですが、KIRMAスタッフがCOD検査に意欲的で継続したいという意向を受け、PACテストを購入する会社の海外代理店の情報提供を行い、今後も継続して検査を行い、水質悪化したときの対策などの構築なども少しずつ進めていけるようにサポートしていきたいなと思います。今後はCOD、PH、大腸菌の河川・海洋の水質検査も行いたいと考えています。

 私のメインとなる活動は環境教育です。しかし既に1年近く経つのにまだ環境教育的な活動はほとんど行えておりません。小学校を訪問しての環境教育を行おうとKIRMAから8月頃から言われているのですが、未だにスケジュールが決定せず、現在はもどかしい思いでいっぱいです。おそらく来年に持ち越しになると思われます。「必ず環境教育やる機会は提供するからそれまで待て!」と言われているのでその時をじっと待ち、しっかり準備して臨みたいと思います。

コスラエ高校の体育館で行われる夜のイベントショーでの様子。

 今年の9月にフィジーで行われた大洋州地域環境分野広域研修に参加して、フィジーで行われている様々な環境政策の現場を見てきました。特に小学校でゴミの分別の箱があり、子供たちが自分達で積極的に分別を行っているのには感心しました。コスラエでは食べ物のゴミは豚や犬にやり、缶やビン、ペットボトルはリサイクルとしてコスラエの人々(コスラエアン)が自分達でリサイクル工場まで持っていき、また一般のゴミと粗大ゴミはゴミ処分場が違う場所に分けられているなど、分別に関する意識は高いです。それは素晴らしいことだと思います。

しかし、運動会等のイベントでは大量のゴミが出ますが、ゴミ箱があってもグラウンドにゴミは散らかり放題、ゴミ箱がなければ当然もっとひどい状況です。道路脇にもプラスチックゴミが散乱しまくっています。運動会のイベント終了時にはマイクでゴミ拾いを呼びかけたこともありました。コスラエのゴミが散乱している状況をみればまだまだ環境の啓発活動が必要だなと感じます。今後も継続させ、またイベント時には主催者側と相談して、コスラエアンとともにダンボールなどを使って簡単に分別ゴミ箱をつくり、環境教育等もやっていきたいとも考えています。

これらを通じてコスラエアンが自発的に「ゴミをどこにでも捨てるのはやめよう!」と思ってくれるようにサポートしていければと思います。コスラエでの環境教育での情報提供の方法は主にラジオ放送と写真にある夜のイベントショーです。ラジオはコスラエアンが情報入手としてよく聞いており、イベントショーではたくさんの人が集まるので絶好の機会です。今年はほとんどできませんでしたが、来年この方法を使って実施したいと考えています。

 環境教育以外では今年7月にコスラエ州政府JICA担当者より依頼を受け、日本に1週間滞在する子供たちに簡単な日本語を教えました。アクションを用いて簡単に単語で伝えれるように、また「日本語は楽しく勉強しよう!」という事を強調してやりました。私としては初めての経験で、これを通じて日本へ行った子供が日本を好きになってくれたら嬉しいなと思います。

野球のリトルリーグの子供たちと

 青年海外協力隊としての魅力は要請された活動を行うのももちろんですが、それ以外にも現地の人々とスポーツなどいろいろな分野で国際交流できるのも大きな魅力だと思います。私は現在ホームスティをしていますが、ホストファミリーの子供からリトルリーグの野球チームを紹介され、コーチをやってほしいと頼まれました。コスラエアンのコーチと私でこの野球チームの子供達と野球をやっています。

野球の技術的な事を教えるというよりも野球の楽しさを伝え、いいプレーをしたときにはとにかく褒めます。子供達により野球を好きになってもらいたいからです。またコスラエアンは大人も子供も野球道具を大切に扱いません。ヘルメットやグローブをよく地面などに投げつけます。道具を大切に扱うというのは日本のすごいいい習慣だと思います。

そこでコーチと相談してすんなり承諾していただき、自分がコスラエ語で野球道具を投げたりすると壊れるよと簡単に子供達に説明した後、コーチが詳しく子供たちに説明してくれました。完全に道具を大事にするのはまだ浸透していませんが、リトルリーグの試合で私のチームの子供達が相手チームの子供達よりも道具を大切に扱っているなと感じました。これは少し嬉しかったですね。今後も道具を大切に扱うことを伝えていきたいと思います。

 この野球チームと別に「世界の笑顔のために」のプログラムでコスラエアンから野球道具が欲しいと依頼を受け、申請して道具が届きセレモニーが11月行われたのですが、その時も祝福のスピーチで「日本人に感謝して野球道具を大切に使ってください」と話しました。これを通じてコスラエアンとより交流し、よりコスラエの人々に野球を好きになってもらいたいと思います。

 最後になりますが香川県青年海外協力隊を育てる会の皆様には毎月支援物資や四国新聞等を郵送して頂いており、とても心強く嬉しく思います。残り1年1ヶ月ですが、悔いのないようにコスラエアンとの現地密着で活動も交流も思う存分やって駆け抜けていきたいと思います。「Kuloh maluhlahp(クロマララップ)」ありがとうございました。