現地隊員レポート             「りる」第66号より 

                                                    モンゴル     丸岡 猛志
                                                             平成26年度3次隊
                                         花卉栽培
   

『1年を振り返って』

 モンゴルに来て約1年が経とうとしています。私が住んでいるチョイバルサンの街にも本格的な冬がやって来ました。連日最低気温が氷点下23度前後で、街の傍を流れるヘルレン川の水も凍り川の上を歩けるようになりました。香川県育ちの私にとってモンゴルの寒さは想像以上でしたが、氷点下10度、20度、30度と経験するうちに寒さの感じ方も変わってくることが分かりました。氷点下20度を超えると「寒い」というより「痛い」というのが実感です。モンゴルの申年は本当に寒いらしいので、来年は氷点下40度を経験できるかもしれません。

 さて前回の記事では6月末までの状況を述べました。今回は7月から11月末までの活動を中心に書いて行こうと思います。

 配属先である専門学校は6月中旬から8月末まで夏休みでしたが、花卉と野菜栽培コースの1、2年生は夏休み期間中、校内の実習場やフドゥー(田舎)へ行って実習しないと行けませんでした。

 校内で実習した学生達は芝生を栽培したり、花壇を作ったり、プランターに寄せ植えをしたりしました。校内は広大で約2町あります。芝生の栽培は全て手作業で、しかも限られた人数で作業しなければならなかったので、実際に種から栽培できたのは約3反でした。また夏場は滅多に雨が降らないので、学生達はほぼ毎日水やりをし、そしてなぜか雨が降らなくても草は生えるので、その除草に追われる日々でした。

 チョイバルサンはモンゴルで4番目の都市ですが、モンゴルは首都であるUB(ウランバートル)に人も物も全てが一極集中しています。だからUBでは日本並に何でも購入できます。芝生の種はUBで調達しましたが、1キロ2万トゥグルグ(約1200円)と大変高価なため地方で芝生を植えている学校はほとんどありません。

 当地は中国やロシアの国境に近いこともあり、中国やロシアの種をザハ(市場)で一袋1500トゥグルグ(約100円)で購入することができます。百日草、ホウセンカ、向日葵、アスター、ペチュニア、マリーゴールド、矢車草、桜草など多数あります。日本の種は当地では買えませんが、UBでタキイのタネを買うことができます。

 学生達は当地で簡単に入手できるマリーゴールド、キンセンカ、コスモス、百日草の種をハウス内に蒔き、育苗し、開花した花を使って花壇を作ったり、プランターに寄せ植えをしたりしました。市内でも7月から9月にかけてこれらの花が自然に咲いていましたが、どこへ行っても同じような花しか咲いておらず自分で珍しい種を買って花を育てている人は少ないと感じました。

 私はザハで中国やロシアの種を買えるだけ買って紙コップに土を入れ播種、育苗して校内に花壇を作りました。色とりどりの花を植えただけあって注目度が高かったです。特にタキイのタネを使って育てたナデシコやサルビアは珍しいゆえに開花直後、誰かに盗まれるハプニングもありましたが、栽培自体はとても順調でした。

 校内で実習した野菜栽培コースの学生達は露地やハウスで夏休み前に播種した野菜を管理し収穫しました。当地では農薬が買えないので、全て無農薬で育てています。モンゴルの夏も意外に暑く日中は30度を越えますので、朝夕2回学校に来て灌水、除草、収穫の作業を行いました。トマト、キャベツ、ピーマン、キュウリの収穫は上々の出来でしたが、ニンジン、ジャガイモ、蕪の根菜類は肥料が足りなかったのか少し小さかったです。トウモロコシやスイカは摘果をしなかったので味がいまいちでした。来年はもっと質を高めつつ、収穫量を増やして行きたいです。そして他の隊員から貰ったオクラ、大豆、インゲン、葱、ニンニク、シソも栽培したいです。

 今年の夏、私はモンゴルであまり育てていない小豆の栽培に成功しました。5月29日に播種して9月29日に無事収穫できました。夏場の日照時間が長かったのが幸いでした。そして収穫した大豆を使ってぜんざいを作りましたが、どうもあの味は甘すぎてモンゴル人にとって苦手だったみたいです。

 栽培した野菜の多くは当校の先生達や食堂が買い取ってくれました。またドルノド県内の農家が一堂に会して自分達が栽培した野菜を販売するイベントが9月5日にありました。ここでは普段スーパーでも見ることができない珍しい野菜がずらりと並んでいました。私はこの光景を見た時、「モンゴルでも色々な野菜が育つ」と確信しました。農家に混じって学生達も自分達が栽培した野菜を販売しました。1日の売り上げは3万トゥグルグ(約1800円)と少なかったですが、学生達にとって栽培から販売まで一通りの流れを経験できたのは大きかった思います。

 9月に入り新学期が始まりました。モンゴルでは9月に入ると急速に秋らしくなります。葉が緑色から黄色へ変化し、朝夕が10度ぐらいになります。10月に入ると雪が降り一旦急に冷え込みます。外ではまだ向日葵が咲いているのに雪が積もっていることもありました。

 9月下旬、モンゴルで活動している隊員の知人から北海道で採れたオオヤマザクラの種を頂き校内、ハウス、プランターに計250粒播種しました。モンゴルは環境が厳しいため桜の苗木を植栽しても枯死してしまうことが多いです。ゆえに種からの栽培は極めて難易度が高いですが、発芽してくれることを信じて来年を待ちたいです。

 モンゴルは緑が少ないです。私が住んでいるドルノド県はほぼ草原で、木や花は街中でしか見かけません。だから今年は「百万本の木を植えよう」というプロジェクトがモンゴル中で行われました。当校では5月9日から市内からチョイバルサン空港に向かう道路沿い、校内、ドルノド県の各地にポプラや松等を約1万本植えました。滅多に雨が降らない硬い大地にツルハシとスコップだけで穴を堀って植樹するのは大変でしたが、一番木を植えるのに貢献したため当校はモンゴル政府から1等賞を貰いました。

 11月に入り日中でも氷点下です。外での活動は少なくなりましたが、部屋の中はパールと呼ばれる暖房設備があるので常時25度前後に保たれています。今はその環境を活かし、プランターに芝生の種を植え栽培したり、観葉植物を水挿して発根させ挿し木にしたり、夏場育てた花と野菜の観察記録をモンゴル語で書いたりしています。

 1年を振り返って、私の活動は配属先にも同僚教師にも恵まれて仕事ができていると思いますので、来年もこの調子で頑張って行きたいです。


学生と一緒に収穫した野菜を広場で販売

学生に松の支柱作りを指導

学生とモンゴルの民族衣装を着て撮影

学生と一緒にキュウリを収穫