現地隊員レポート             「りる」第68号より 

                                                    モンゴル     丸岡 猛志
                                                             平成26年度3次隊
                                         花卉栽培
   

『いろいろな国のボランティアたち』

 モンゴルの夏は最高です。夏のモンゴルはナーダム(夏の祭典)を見たり、フドゥー(田舎)へ行ってキャンプやアウトドア等が楽しめます。観光客の多くはツアーに参加してフドゥーへ行ってゲル(遊牧民の移動式住居)に宿泊したり、馬に乗ったり、モンゴルで一番美味しい料理であるホルホグ(羊肉の塊を野菜、塩、香辛料とともに大きな缶に入れ、さらに焼けた石とを交互に詰めて石焼にしたもの)を食べたりして楽しんでいます。

 2016年6月29日、4年に1度の国政選挙、7月15日・16日とASEM(アジア欧州会合)首脳会合がモンゴルで行われるので、首都であるウランバートルでは例年とは違った雰囲気を感じます。ウランバートル市内の至る所で道路規制やホテルの改修工事、道路の舗装工事が行われています。空港でのセキュリティーチェックも厳しくなっています。今年は、ASEMが終わるまでかなり市内は物々しいので、モンゴルへお越しの際はASEM以降をお勧めします。

 さて、私はJICA(国際協力機構)ボランティアとしてモンゴルのチョイバルサン市で活動していますが、ここではPeace Corps(米国平和部隊)やKOICA(韓国国際協力団)のボランティアも活動しています。普段は個別にそれぞれの配属先で働いているのですが、活動がない週末、一緒にワークショツプをしたりイベントを共同で行ったりすることもあります。

 2015年10月から12月まで毎週土曜日、チョイバルサン市内にある児童館でモンゴル人に対してお互いの国について紹介しました。我々ボランティア以外にも市内の大学で働いている中国人も参加して、「服」、「歌」、「文化・歴史」、「料理」などをモンゴル語で紹介しました。モンゴル人の方々も参加してくれて、我々外国人はモンゴルの国や文化について知ることができました。

 「服」というテーマでは、我々JICAボランティアは着物や浴衣について紹介しました。ただ紹介するだけではなく、実際にモンゴルの方に浴衣や袴などを着てもらいました。KOICAボランティアは韓服(チマチョゴリ)、モンゴル人の方はデール(モンゴル族の男女が着る民族衣装)を紹介してくれました。
 それぞれの国の民族衣装

特に印象に残ったのが、モンゴルでは民族によって民族衣装が異なっていたことです。チョイバルサン市にはブリヤート人がたくさん住んでいますが、女性のブリヤートデールには帯を巻きません。デールは民族だけではなく、性別や未既婚によっても異なるためバリエーションがとても豊富です。
 甚平とチマチョゴリ

 「歌」というテーマでは、JICAボランティアは童謡『ふるさと』やSMAPの『世界に一つだけの花』を紹介しました。『ふるさと』の歌詞の読み方をモンゴル語に翻訳して、皆と一緒に歌いました。モンゴル人の方は民族楽器であるモリンホール(馬頭琴)の演奏してくれました。モリンホールの伴奏でモンゴルの歌を歌ってくれたので、とても感動しました。

特に印象に残ったのが、KOICAボランティアが韓国民謡『アリラン』を歌ってくれたことです。『アリラン』は地域によって歌が違うらしく、それぞれの郷土の歌を紹介してくれました。音楽の先生がいたので、今流行っているT−ARAやPSYの歌に合わせてダンスも披露してくれました。やはり歌や踊りができるのは得だと感じました。

 「文化・歴史紹介」というテーマでは、JICAボランティアは『お茶』について紹介しました。まずお茶についての概要をモンゴル語で説明して、その後いろいろなお茶を試飲してもらいました。日本の茶道を知ってもらうためにお手前も披露しました。私が盆略手前で薄茶を作りましたが、抹茶より普通の緑茶の方がモンゴル人には好評でした。
 盆略手前を披露

 「料理」というテーマでは、JICAボランティアはカレーを紹介しました。モンゴル人は辛いのが苦手な方が多いのですが、カレーは幸い好評でした。やはり甘ロにしたのが良かったです。モンゴル人の方はボーズ(モンゴル風小籠包)やチャンスン・マハ(羊の骨付き丸ごと塩茄で)などの伝統料理を紹介してくれました。

特にボーズはモンゴルの国民食なので、ボーズを食べない日はありません。私も毎日食べても飽きません。KOICAボランティアはビビンバやチヂミを実演して作ってくれました。海外で生活する上で料理を作れるのは何かと得するので、これからJICAボランティアを目指す方は何品か作れるようになっていた方がいいです。ちなみにモンゴルではキンパブ(韓国の海苔巻き)がモンゴル語になっていて、普通の食堂やスーパーでも売っています。

 活動後は他の国のボランティアと一緒に市内にある湖へ行ってスケートしたりもしました。モンゴルの冬はとても寒いので、冬になると湖が凍って、そこでスケートをすることができます。スケート靴はレンタルすることが出来、1時間2000トゥグルグ(約110円)です。香川県だと人工のスケートリンクしかないので、少し凹凸のあるアイスリンクで滑る経験は得がたいものでした。
 湖でスケート

 また夜は他の国のボランティアと一緒にPotluck Partyをしたりもしました。JICAボランティアはお好み焼きやシチュー、ケーキ、KOICAボランティアはプルコギ、Peace Corpsボランティアはピザホーショール(ピザ味のお好み焼き)、サラダ、中国人の方はジャガイモと牛肉の煮込み、モンゴル人の方はボーズを持ち寄りパーティーをしました。
 Potluck Party

ここでの共通語はモンゴル語でした。みんな一生懸命モンゴル語で交流し、モンゴル語が通じない場合は英語でコミュニケーションを取りました。KOICAの学生ボランティアの方はモンゴル語も英語も中国語も日本語も多少分かるので、パーティーを盛り上げてくれました。まだ若いのにたくさんの言語を話せるのはすごいと思いました。

 みんなチョイバルサン市で働いていますが、個々の活動が忙しく滅多に会えません。なぜなら、それぞれの活動先での仕事を優先して忙しく働いているからです。我々は母国を離れてモンゴルに来ているので、言葉が分からなくても理解し合える部分が多いです。

言語はできた方がいいですが、一番重要なのは言葉が出来なくても積極的にイベントやパーティー等に参加して交流していくことだと思います。先に挙げたように言葉できなくても歌や踊りができれば人気者になれますし、また料理ができれば活躍できます。これからもいろいろな国の人が集まる場から色々な形のコミュニケーションの仕方を学んで行きたいです。