現地隊員レポート             「りる」第69号より 

                                                    モンゴル     丸岡 猛志
                                                             平成26年度3次隊
                                         花卉栽培
   

『西モンゴルで遊牧民生活を体験してみませんか?』

 2年目の冬を迎えました。今年の冬は昨年に比べると冷え込みが厳しく、11月時点で既に氷点下30度まで下がる日が何日もありました。また昨年よりも降雪量が多く、道路に積もった雪を人海戦術で除雪する日が何度もありました。

 モンゴルでは申年の冬はとても寒くなると言われていますが本当に凍えるような日が続いています。風が吹くと氷点下25度ぐらいでも体感温度は氷点下35度ぐらいに感じられます。北海道弁で「しばれる(肌が刺さるように痛いほど寒い)」という表現がありますが、本当に肌を露出していると痛いです。大げさではなく本当に脳みそが凍るかと思うほどです。

 さて私は今年の夏、ホブド大学・観光日本語学科の卒業生が主催するホブド地元学ツアー2016に参加しました。このツアーはその名の通り、ホブド大学で日本語を学んだ元学生が始めたものです。彼らがガイドとなっているので、ツアー参加者は日本語でホブド県のことだけではなく西モンゴルの魅力を知ることができます。

 また知るだけではなく体験もできます。このツアーは1週間ぐらいありますので、その間遊牧民と同じ生活ができます。ツアーに参加しないと食べられないモンゴル料理に加えて、庶民的なモンゴル料理まで堪能できます。男性なら羊の解体に挑戦できます。これができないと一人前の遊牧民になれないので、遊牧民出身の男性なら誰でも羊を解体することができます。

羊の解体に挑戦

女性なら牛や山羊の搾乳に挑戦できます。朝晩2回搾乳しているので体験の機会は何度でもあります。現地での移動はもちろん馬です。一日10キロぐらいトレッキングするので初めてでも上手になります。

山羊の搾乳

宿泊はゲル(モンゴル遊牧民の移動式住居)です。ゲル内に自家発電はありますが日没が消灯時間です。7月は日が長いので夜10時過ぎまで明るいです。お風呂(シャワー)はありません。しかしモンゴルは乾燥しているので1週間ぐらいお風呂に入らなくても大丈夫です。トイレはゲルの外にありますが、基本的にどこでも用が足せます。しかし川や水辺付近では駄目なので気をつけてください。

 今までの説明で興味がわいた方は、YahooやGoogleで「ホブドのこえ」と検索すればツアーに関する詳細を知ることができます。ツアー情報は4月から5月ぐらいにアップされ、毎年7月後半に開催されています。今年で10年目を迎えた人気のあるツアーで、参加者の多くは本当のモンゴルを知るため、体験するためにわざわざ日本から来られます。

 2016年の場合、ツアー代金は6泊7日で110万トゥグルグ(約5万円)でした(宿泊費、食費込)。しかしホブド集合、ホブド解散なので日本から現地までの交通費は含まれていません。日本からだとMIATモンゴル航空(直航)か大韓航空(ソウル経由)でモンゴルの首都ウランバートルまで来て、そこから国内線(フンヌ・エアかアエロ・モンゴリア)に乗り換えてホブドへ行く必要があります。オラーンゴムという都市を経由して行くのでウランバートルから3時間ぐらいかかります。バスだと40時間ぐらいです。

 注意する点として、ウランバートルと西モンゴル(ホブド県、ウブス県、バヤン・ウルギー県)には時差が1時間あります。国内線はよく出発時刻が変わるので、前日に定刻どおり出発するか確認する必要があります。またバスはアスファルトで舗装されていない道を走るので、車両トラブルがあればもっと時間がかかります。予定が読めないのがモンゴルなので、日本から参加される方は時間に余裕をもって現地にお越し下さい。

 2016年のツアーはホブド市内観光に加えて、ホブド県からバヤン・ウルギー県にある鹿石、立石墓、岩壁画、石人などの遺跡を見たり、心臓や肝臓、胃などに良い冷泉を飲んだり、万年雪があるタワン・ベルチル山に登ったり、モンゴルで幸せの花と呼ばれるワンセンベル(セツレンカ、トウヒレンの仲間)を探したり、氷河湖であるノゴーン湖へ乗馬トレッキングをしたり、遊牧生活を体験したりしました。


乗馬トレッキング

ワンセンベル(セツレンカ)

 ツアー参加者は日本人5名、モンゴル人のアテンド5名だったので、ランドクルーザー2台で移動しました(都市部などでは舗装されている道がありますが、基本的に郊外は悪路が続くので、ランドクルーザーでないと移動が難しいです)。全行程で車移動が約400キロで、馬移動が20キロぐらいでした(初日と最終日だけ150キロぐらい移動するので大変ですが、ほかの日はほぼ移動しないのでそんなに大変ではありません)。

 西モンゴルには遺跡がたくさんあります。鹿石は世界で約700、モンゴルに約500あるといわれていて、長めの岩を3つに分けて、一番上に太陽と月、真ん中に鹿の群れ、一番下に男性が使う道具と帯が彫られています。立石墓は地元の偉い人のお墓で、鹿石と一緒に作られています。また岩壁画は赤土で描かれた絵と彫って描かれた絵があります。

野生の山羊、駱駝、象などの動物が描かれていることが多いことから、当時のモンゴル人たちが狩りをして生活していたことがわかります。石人は立っているような状態で作られた物が多いですが、胡坐をかいて座っている石人もあります。これらは地元の人に言われないと見過ごしてしまう場所にあったりするので、この地元学ツアーでしか味わえない特長になっています。

 モンゴルにはたくさんの民族(部族)がいます。ハルハ族が約8割で、あと私が活動しているドルノド県ではブリヤート族の人が多いです。ホブド県では13部族も住んでいるので、ほかの県に比べると少数民族がたくさん住んでいます。バヤンウルギー県はカザフスタンに近いことから、カザフ族の人が多く住んでいます。モンゴル族とカザフ族が一緒に共存しているで、独特の雰囲気があります。ぜひツアーの際は、カザフ族のゲルに立ち寄ってモンゴル族とカザフ族のゲルの違いに注目しながら、ゲル内にあるカザフの伝統的な刺繍に目を奪われて下さい。

 ツアーの最大の魅力は何と言ってもいろいろな食事が楽しめることです。朝はパンにウルム(モンゴルの手作りバター)をつけて食べ、スーティ・ツァイ(モンゴル版ミルクティー)を飲みます。新鮮なウルムは生クリームのようでとても美味しいです。また昼は手作りボーズ(モンゴル式蒸し餃子)やホーショール(モンゴル式の揚げ餃子)などのモンゴル人の常食に加えて、ノゴートイ・シュル(モンゴル風野菜スープ)、ゴリルタイ・シュル(モンゴル風うどん)、ボダータイ・ホーラガ(モンゴル式炊き込みご飯)なども食べることができます。


チャンスン・トルゴイ(羊頭の塩茹)

ホルホグ(羊の石蒸し焼き)

チャンスン・ゲデス(羊の内蔵の塩茹)


どの料理にも羊肉が入っていますが、肉が新鮮なので臭みがなくて食べやすいです。夜は、ツォイワン(モンゴル風焼きそば)、シャルサン・マハ(羊肉の妙め物)、チャンスン・マハ(羊肉の塩茹で)、ホルホグ(羊の石蒸し焼き)などを食べることができます。特に、羊を解体してその日のうちに食べるホルホグは最高のご馳走です。ぜひモンゴル料理の中で一番美味しいホルホグをご賞味ください。ツアー中には2度ほど羊を解体するので、飽きるほど羊肉を堪能することができます。

 モンゴルに来る人の大半はモンゴルで乗馬することを目的に来られる方が多いです。モンゴルだと一日乗っても2万トゥグルグ(900円)なので、乗馬好きにはたまらないと思います。モンゴルの馬はサラブレッドと違って少し小さく、気性も荒くないので乗りやすいです。ツアー中は、乗馬トレッキングで山に登ったり、降りたりするので、初心者なら不安を覚えるかもしれませんが、遊牧民の方や現地の人が縄を引いてくれるので安心です。少しなれてくると歩法で言えば、速歩から駈歩までいけます。襲歩は乗りなれた方なら楽しめるでしょう。

万年雪とゲルと家畜

2017年夏には新ウランバートル国際空港が開港する予定です。開港すれば、今までのチンギスハーン国際空港よりも離発着数が増える見込みです。将来的にはJALやANAといった日本の航空会社も乗り入れる日も来るかもしれません。そうなれば日本からモンゴルにも行きやすくなることでしょう。

 モンゴルに来る旅行者はリピーターが多いです。百聞は一見にしかずといいますが、やはりモンゴルに一度来て見て体験してみなければ実際のところはわからないと思います。一度体験するとモンゴルの奥深さがわかって来ます。本当に今の時代、携帯の電波も入らない外部と遮断された環境の中で旅行できる国は少ないと思います。夏のモンゴルは最高なので、ぜひ一度遊びに来て、西モンゴルで遊牧民生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。きっとモンゴルの雄大な自然があなたの人生観を変えてくれることでしょう。