OB・OG活動       「りる」第39号より

     ネパール         T.N.

                     平成710年1次隊

                     理教科教師

 

 先日10月24日、香川町老人クラブ連合会の会員の方を対象に、ネパールでの協力隊活動や生活について講演させていただきました。

 ネパールは、大国の中国とインドにはさまれた東西に細長い小国で、ヒマラヤ山脈の南側に位置している。気候は、雪に覆われたヒマラヤ山脈のイメージが強いが、標高の低い南側では日本よりも暑く、40℃を超える所もある。人口は日本の6分の1の約2000万人、面積は北海道の2倍程度である。

 さて、私の配属されていた任地は、ネパールの極西部、ブッドールという山間部の町でした。ネパールの地形の起伏の激しさから陸の孤島と思われる程、交通の便の悪いところが途中にあり、首都カトマンズからバスで丸一日かかる。しかし、寒い時期でも雪は降らず、日本人にとっては過ごしやすい気候帯に位置している(標高1000〜1500m)。

 派遣先のランブール公立学校は、生徒数約450人、地方によくある小・中学校、高校が一体化したネパールでは一般的な公立学校で、そこでの私の活動は、理科や数学の直接指導(中学生)、教員へのサポートの他、学校設備面の向上でした。



 ネパールの学校の教室には、日本の学校のように生徒一人に対して机といすがあるわけではなく、5、6人で一組の長机・長いす(写真)で、それ以外に小さい黒板だけとりつけられてあるというのがごく普通である。また、体育館はなく、人気のスポーツ・バレーボールも外の小さいグラウンドで行っている。



 それに加え、私の学校では生活に必要な水道やトイレもないという状況でした。このために、生徒たちは、用を足しに校舎の裏山へ、水を飲みに遠くの町の共同水道まで行かなければならない。その件について、私は、校長をはじめ教員からもこの学校の大きな問題だ、とよく話を聞いていた。

教員たちと話しているうちに、この水の問題をなんとかしたいと強く思うようになり、校長や村長・役員と話し合いを繰り返した。そして、学校の経費と私の支援経費を出し合ってウォータータンクを建てる事が決まった。計画から完成まで約1年、任期後半の大きな活動になり、水源からの水引きのために、山の中を6時間かけて、水源調査に出かけたこともあった。

 最終的に、町の共同水道からパイプを通す作業、ウォータータンク(写真)と水道1つの取り付けまで20万円ぐらい掛かり、そのうちの15万円を支援した。完成したのは帰国2ヶ月前であったが、利用状況を無事に確認することができた。近い将来、学校側がトイレ建設を実施するという約束をして、この学校での活動を終えた。



 またこの講演で、隊員活動以外にネパールの生活様式や農業様式をビデオを通して見て頂きました。日本の50〜60年前とよく似ているところがあると興味・関心を持たれた方が多かったようでいろいろなご質問を受けました。最後には、これを機会に国際理解や国際交流にもっと関わって下さいと話を付け加えさせて頂きました。