現地隊員レポート             「りる」第55号より 

                                                    パナマ    A.Y. 
                                                             平成22年度3次隊
                                         村落開発普及員
    

 

「KAIZEN」マインドをパナマに

 中米の最も南に位置するパナマに派遣され、任地であるエル・カカオ村(首都パナマシティからバスで3時間)に来て約1ヶ月が経とうとしています。パナマはパナマ運河による恩恵を受け、国内総所得(GNI)6,800ドルともうすぐ中進国の仲間入りを果たそうとしている国ですが、都市から離れた村では電気も、水道も、充分な教育もなく、数字では見えない貧しさ、貧富格差のある国です。

 私は、村落開発普及員としてエル・カカオ村の生活改善と農産物のマーケティングによる所得向上を目指し活動を始めました。まずはグループの現状を把握するために、村内の20の農村グループをカウンターパートと一緒に巡回しています。

農業や農産物販売における問題点、生活の悩みなど、聞きたいことは盛りだくさんですが、まだ語学力がついていかず、もどかしい気持ちでいっぱいです。赴任して3ヶ月間はエル・カカオ村や農民グループの活動を把握するために、少しずつでも情報を収集して、具体的な活動につなげていきたいと思っています。特に、カウンターパートからは、国内外問わず外部からの援助を期待している村民に、「自分たちで考える力」を身につけてほしい、まさに日本の「KAIZEN」意識を村民に持ってもらえるような活動をしてほしい、と言われています。

 戦後の生活改良普及活動で行われた、人々が自らの問題に気づき解決案を考え実行するような「考える農民作り」を、21世紀の今、中米の地で展開していくことを興味深く感じるとともに、人の意識を変えるということは、とても難しく、時間のかかることであり、目に見えづらい苦しさもあると思います。語学や文化の壁に不安もありますが、村民の方々と一緒になって考え、解決策を見つけていけるよう精一杯活動していきます。