現地隊員レポート             「りる」第60号より 

                                                    パナマ    A.Y.
                                                             平成22年度3次隊
                                         村落開発普及員
    

 

『活動終了を間近に控えて』

 みなさん、こんにちは。
 帰国まで残り2ヶ月を切り、実質活動期間は残り約1ヶ月となりました。1月8日にパナマを発つことになり、慌ただしく活動終了や最終報告会に向けて準備を行っています。パナマは11月、12月はイベントが続き、お祝いモード一色です。11月3日は、コロンビアからの独立記念日(パナマは以前コロンビアの一州でした)、11月28日は、スペインからの独立記念日、12月8日は母の日、12月25日のクリスマス、そして、お正月。人々の気持ちはなんだかお祭り気分、クリスマスや年末に向けて大型スーパー等ではセールが始まり、人々の購買意欲も上がってきています。

  独立記念日の日にポジェーラ という名前の衣装を着て民族 舞踊を踊る

「女性グループとの活動」
そんな中、村の女性グループとの活動も終盤の終盤。以前から続けている自然素材のアクセサリー作りを継続して行いながら、グループが帰国後も継続して活動ができるように、主に2つのことをやってきました。

 1つ目は、販路を探すこと、特に、町にある手芸・文房具店で商品を置いてもらうように交渉を始めました。中国から来る安いものに溢れていることもあり、卸値に納得してもらえなかったり、中国製の安いものがいいと言われたり、と初めは思うようにいきませんでした。しかし、よく材料を買いにでかけるお店に相談したところ、20個ほど商品を買ってもらうことができました。

その後も、11月の独立記念月間に合わせて、パナマの国旗カラー(赤、青、白)のアクセサリーを作り持って行ったところ、これも置いてもらえることができ、さらには、売れ行きが好調だとお店の方も喜んでくれています。本当は、定期的に納品するような仕組みまで作りたいところですが、そこまで辿り着くにはもう少し時間が必要そうです。

  ココナッツや木の皮を加工したアクセサリー

初めは恥ずかしがって、お店回りに行ってくれなかったお母さん達ですが、一度販売に成功した後は、グループのリーダーを中心にお店に行ってくれています。とはいえ、村から往復5ドル、片道1時間半以上もかけていくため、そう簡単に何度も足を運べるわけではありません。しかし、女性たちが商品を置いてもらうように交渉することができるようになったことは、大きな一歩です。

  パナマ国旗柄のアクセサリー

 2つ目は、グループの規約作り、1年間の活動カレンダー、値段付けや商品作りのマニュアル作りなどを行っています。どうしても、計画を立て実行し、結果から反省点を導き、次回に活かしていく、というプロセスが苦手な女性たち。いつも、思い立ったら動いてみよう!とするものの、「決める」ことに慣れていないこともあり、機会を逃してしまいそうになることもあります。

  カレンダー作り(1)

カレンダー作りでは、この1年間一緒に活動してきたことを振り返りながら、来年何月に何をしなくてはいけないのか、計画、商品作り、販売のための準備、振り返りという4つの軸でToDoリストのようなものを作りました。お母さんたち曰く、家事などに追われて何をやらなければいけないか集中して考えられない(考えることが億劫になる)こともあるので、こういうカレンダーは役に立つと話してくれました。残りたった1ヶ月しかありません。どこまでできるか分かりませんが、最後の最後までグループが活動しやすい状況を作っていきたいと思っています。

カレンダー作り(2)

「おわりに」
あっという間に時間が過ぎていくことに戸惑いながら、そして、残り少ない期間に焦りながら日々を過ごしています。2年間お世話になったこの村を離れると思うと寂しく、もっと語学力があれば、もっと知識や技術があれば、もっと色んなことができたのにと思ってなりません。しかし、私にとってこの2年間の協力隊生活は宝物です。たくさん勉強させてもらいました。

日本で本や文献などを読んで分かったような気でいた途上国での生活やそこに住む人々のことをより深く知ることができたと思います。村で見て聞いて感じたことは、知っていた途上国の現状をより現実的に捉えることができるようになりました。ここでの活動が終わったら、協力隊活動が終わりというわけではなく、日本に帰国してから地域への還元、また、出来る限り村の人たちや配属先の人たちとのつながりを続けていくことを考えていきたいと思います。