帰国報告                    「りる」第35号より 

                                                    セネガル  S.I.
                                                             平成13年度2次隊
                                         村落開発普及員
    

1.セネガル概況

 地理的にはアフリカ最西端に位置します。気候は6〜10月の雨季と、11〜5月の乾季に分かれます。
 乾季の終わりの4〜5月には、ハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漢方面からの季節風があり、摂氏50度近くまで気温が上がります。人口は約1,000万、面積20万u弱です。
 宗教は国民の90%がイスラム教ですが、ご覧のとおり中東ほど厳格ではありません。

 食事は70年代以降援助米が大量に入ってきてからは米食中心です。油を大量に使います。魚は日本に次ぐと言われるほど消費されています。ミレットという雑穀を杵と臼で挽いて食べたこともあります。かつてはこちらの方が主食だったようです。

 主な産業は、落花生栽培(主に食用油用)、リン鉱採掘、漁業等です。かつての社会党政権のもとでは、栽培された落花生を政府が定額で買上げていましたが、2000年の政権交代で、その制度も廃止され、自由主義経済政策に転換し、現在落花生買取公社の民営化が進められています。また、トウモロコシなどへの転作も進められています。現在、構造改革の過程にあります。

2.任地フンジュン市

 内海に面した人口6,000人の小さな町です。内海を挟んで対岸とは高松と同じようにフェリーが行き交っています(ずいぶん小さな船ですが)。かつてはフランス植民地政府の一州都として、また落花生積出港として全国3位の地位を占め大いに栄えたそうですが、後に別の町に州都の座を奪われ、現在はフンジュン県の県庁所在地として、また、周辺島喚部漁船の水揚港として、さらに周囲に広がるマングローブ・野鳥を求めて来るフランス人、スペイン人、イタリア人らの長期滞在型リゾー卜地として落ち着いた雰囲気を提供しています。



3.2年間の活動内容

(1)女性グループとの活動
   全国女性の地位促進連盟フンジュン県女性グループ貯蓄貸付会
   (FNGPF GEC de Foundiougne)
 ●活動目標
  女性たちの自立支援
 ●活動内容
  帳簿処理・決算処理・経営戦略策定・事務効率化・村での啓蒙活動。
 ●協力効果
  活動期間は1年10ヶ月で、最も長い間活動をし、最も効果が現れた活動先です。

 関与開始時には、
  ・気分によって営業時間が変わる
  ・今日やるべきことを明日に延ばす
  ・目標意識が曖昧
  ・帳簿のつけ方の基本は分かるが、各勘定科目の意義を理解していない
・業務の非効率性(書式等の使いづらさ)
といった問題点があったのが、

活動後には、
・営業時間の厳守(顧客も安心)
・迅速な処理と正確性の向上
・時系列上・他機関との比較による相対的位置の把握
・決算書類作成を続けることにより、全体としての各勘定科目の意義を理解
・定型事務の簡素化

ができるようになり、正確・迅速・丁寧な事務処理が可能になりました。
適切な事務処理を地道に継続させることにより、他県の同組織と比べても高い浸透率を 勝ち取ることができ、結果が数字にも表れました。

(2)島人たち(ニョーミンカ)との活動
   ケチャ(燻製魚)の製造・販売計画(FENAGIE de Peche Union Locale de Foundiougne との活動)
 ●活動目標
  島人(セレール民族ニョーミンカ族)の現金収入手段の確立
 ●背 景
  当地には漁業省の支援により、ここ数年、魚を高付加価値化して販売するための燻製用のかまどが設置されました。しかし、現地住民は、夜を徹する作業でさらに煙で目をやられる燻製作りを嫌い、そのかまどをギニア人に無料同然で貸し付け、魚を低い値で売ることで満足していました。しかし、ギニア商人たちに母国で売っている金額を聞いてみると、原価の10倍近いものということがわかり、地元漁業省技官とも話し合った結果、現地住民も当事業に参入すべきであり共存共栄していくべきだという結論に達しました。

 そのため、現地の漁協を組織化して、大量の燻製を運搬・販売する計画を立案するために、市場調査を計画しました。
 まず、ギニア・ルートを検討しました。こちらは燻製魚の主な販売ルートでコルダ州のジャウベ市場が売買の一大拠点ですが外務省危険地域に指定されており隊員での調査は不能でした。

 次に、漁協の青年を連れてマリ・ルートの調査に入りましたが、セネガル側に特に大きな集積地はなく、燻製魚を積んだトラックはそのまま国境を越えていることが分かりました。トラックドライバーからの聞き取りによると、売買の拠点は、マリ領内のカヤル市または首都バマコと推定されます。
 ●協力効果
  国境をまたぐ計画で、様々な制約があり、任期内での詳細な計画立案・遂行には至れませんでした。しかし、隊員がギニア・マリ人商人から得た情報を現地に還元し、起業家精神を駆りたて続けた効果は少しずつ現れ、任期終了期には、そんなに儲かるのであればと、友人の村落共同体議長が現地人コンサルタントを雇ってジャウベ市場の調査に着手しました。また別の営利グループ会長も今乾季(シーズン)に自らジャウベに調査に行くことにしています。

魚を捕ることに特化してきたニョーミンカ族が、今後、流通・販売にも進出し、少しずつでも価格形成の一端を担えるようになれたらと思っています。

全国漁業連盟フンジュン地域漁協貯蓄貸付組合(MECIF)
 ●活動目標
  漁村地域での貯蓄・貸付の推進
 ●活動内容
  帳簿処理・決算処理・経営戦略策定・事務効率化。
 ●協力効果
  活動は1年弱でしたが、GECと競わせることで効果的な活動ができました。

(3)保健分野での活動
フェリール村でのカーズ・ド・サンテ(診療小屋)建設
 ●活動目標
  村落でプルミエ・ソワン(初期治療)ができる環境作り。持続可能な経営体制の育成。
 ●活動内容
  フェリール村保健委員会の機能化。帳簿処理・在庫管理の確立。
 ●協力効果
  活動7ヶ月。スタッフが基礎的な記録を行えるようになりましたが、長らく根付いてきた村民の依存意識を変革するまでには至れず、保健委員会の機能化は不十分なまま任期を終了しました。

スン村ポスト・ド・サンテ(陸の村々)看護士・ジルンダ地域共同体(島の村々)地域推進員と保健啓蒙(シネマ)
フェリール村小学校での保健啓蒙

(4)活動に対する自己評価(総括)
 GEC(フンジュン県女性グループ貯蓄貸付会)では他県の同組織と、MECIF(全国漁業連盟フンジュン地域漁協貯蓄貸付組合)ではGECと、それぞれ競争意識を持たせ、目標を設定することによって、効果が上がりました。活動先別に見ると、概ね関与期間が長い活動先ほど協力効果が見られました。
 一定レベルの満足度が得られた活動もあった反面、もう少し時間が欲しかったと思う活動もありました。
残った課題は、村人自身が今後長い時間をかけて解決していくものと期待しています。

(5)育てる会の皆様へ
 育てる会の皆様のおかげでたいへん充実した2年間を送ることができました。育てる会の皆様に贈っていただいた短波ラジオで毎朝日本のニュースをチェックし、月に1度県庁国際課の方が送って下さる四国新聞で郷土の動きを垣間見ることができました。また、機関誌「りる」を読むことで他国に派遣されている同県の隊員が頑張っている様子をうかがうことができ大変励みになりました。ここで改めて「育てる会」会員の皆様に厚く御礼申し上げます。「育てる会」の今後ますますの発展を祈念いたしております。