現地隊員レポート             「りる」第55号より 

                                                    セネガル   S.U.
                                                             平成22年度1次隊
                                         エイズ対策
    

 

『セネガルより現地レポート』

 皆さん、こんにちは。現在セネガルに派遣されている、上原誠子です。派遣隊次は22年度1次隊で、職種はエイズ対策です。セネガルはアフリカ大陸の左端に位置し、日本の約半分の広さです。日本との時差はマイナス9時間です。任地のタンバクンダ州は首都のダカールから車で東南に約10時間走った内陸部に位置し、国土の約3分の1を占める広大な州です。ここに約78,800人が暮らしていますが、州の中心部から離れた村の住民から保健医療施設までの距離が大変遠いという問題が存在しています。配属先は青少年活動センターの中にあるHIV/AIDSカウンセリングセンターです。

 検査室

 ここではセンター内はもちろんですが、センターへ遠い地方へ出張も行い、HIV感染予防の啓発活動や、無料でHIV陽性検査とカウンセリングが受けられる環境を提供しています。また週に3日、妊産婦検診を実施したり、青少年のリプロダクティブヘルスに関係した活動も行っています。

 出張検査1

 さてセネガル国民の9割はイスラム教を信仰しているといわれています。今回はセネガルの宗教とそれに基づいた人々の生活を報告したいと思います。イスラム教徒は1日5回、お祈りをします。(5時、14時、16時、18時、20時くらい)。お祈りの時間が近くなると、街のあちこちに設置されたスピーカーからコーランが大音量で流れます。お祈り前、人々はまず身体を清めるために顔や手足、口の中を洗います。そしてメッカの方角に向かいゴザや絨毯の上で、伏して立ち上がる動作を繰り返し、お祈りを行います。

 出張検査2

 また精神的な行として、1年のうちに約1ヶ月間、日の出前から日没まで、飲んだり食べたりする事を禁じる”断食”を行い、アッラーに対する崇拝の念を表します。これをラマダンといいます。日中に近所の商店などで食料品を買うと「ラマダンしてみたら?」と勧められます。このラマダンという行は、外国人には強制されるものではなく、病人や妊婦にも特別な配慮が設定されています。しかしながら、ラマダン中は水さえも口にしないイスラム教徒達は、薬を飲み忘れてしまったり、医師の指示に従わずに断食をして病状を悪化させてしまう人もいます。

 さらに、マラブーと呼ばれるお坊さんや、グリオと呼ばれる伝統的な歌唄いの人々の力は絶大です。出張検査を行う事を上記のような伝統的な権力を持っている人々に広報してもらえると、通常の2倍、3倍の人が検査に来ます。

 このようなセネガルの文化や習慣を楽しみながら、安全と健康に気を配り、活動を充実させていきたいと思います。