ムベヤ駅伝大会     「りる」第12号より

     タンザニア        H.I.

                     平成7年1次隊

                     果樹

 

 11月19日、ムベヤ(ザンビア・マラウィ国境近くにあるタンザニアの地方都市)駅伝大会が開催された。これは協力隊員が企画主催したもので、広く宣伝した努力の甲斐あって、とても大きな大会となった。ゲストには元オリンピック選手も来てくれ、1チーム5名で、日本人男女各1チームを含めた男子23チーム、女子5チームの参加があり、インターナショナルメンバーに入っている選手もいた。

来年からはタンザニア側主催で行ってもらおうとしているので、運営には多くのタンザニア人に加わってもらい、日本人はタンザニア人の指導・サポートにまわった。一番大切な記録係も、もちろんタンザニア人である。150名近いエントリーなので、一人一人のタイムを正確に取ることができるのかと、不安は大きかったが、事前の早朝練習にも進んで参加してくれ、当日はトラブルもなく正確にタイムを計測することができた。

 時間にあまり正確とは言えないタンザニア人であるが、駅伝当日は朝早くからスタジアムに集合し、各自でトレーニングを行っていた。

 開会式の後、いよいよスタートである。まずは1人8キロ走る男子、その10分遅れで1人2キロの女子のスタート。みんなスタートからいきなり全力疾走である。そんなに走ると最後まで息が続かないだろうという我々の心配をよそに、8キロなり2キロを軽く走り、続々とタスキリレーしていくのである。

彼らにとって駅伝は今回が初めてで、タスキのリレーがうまくいかない。渡す時に立ち止まってしまったり、歩きながらタスキをかけて、それから走り出す・・・などなど。事前に説明会を開いているのだが、やはりスムーズにはいかないのである。

それでもタスキリレーがうまくできている日本人チームより速くゴールしたチームがいくつもあり、学校で体育の授業をして、トレーニングをすれば、良い選手がたくさん出て来るのではないだろうかと思われた。こちらの学校では体育・音楽・美術等の芸術的授業は、ないに等しいのである。

 

  リレータッチ



 大きな事故もなく全員完走し、記録の集計を行っている時間に、選手にも観客にも楽しんでもらおうと、自由参加の網引き大会を行った。この綱引きが子供から大人にまで大変ウケて、想像以上の盛り上がりを見せた。タンザニアの子供達を日本の運動会に招待すれば、大変楽しんでくれるだろう。

 

  表彰式



 その後で表彰式を行い、大会は終了した。選手も観客も、それからこの日一番疲れたであろうスタッフも、みんな生き生きして見えた。たくさんの人々が協力して一つのことを成し遂げた後には充実感が残るのであろう。私自身、今大会で色々な人と知り合え、貴重な経験をすることができた。赴任4ケ月目にして大切な思い出を作ることができ、ここに来てよかったと思っている。

 

  近所の子供たちと一緒に