トンガでの仕事         「りる」第14号より

     トンガ            I.S.

                     平成7年2次隊

                     電話線路

 

 「育てる会」に出すレターも今回で4回目となりました。トンガに来て14ヶ月が過ぎ、残す任期は10ヶ月足らずとなりました。今年の1月に日本での私の勤務先(NTTテレコムエンジニアリング四国)の支店長と係長がトンガを訪れました。そして、2月にはNTT国際本部のスタッフが来ました。

どちらもJOCVのオフィスで、所長はじめ調整員との意見交換を行い、私の所属先であるトンガテレコムに挨拶をし、作業現場を見て回ったりと、わずかな滞在の中で忙しいスケジュールをこなしてくれました。はたしてトンガの事をどれくらい理解してもらえたかは疑問ですが、現職参加の隊員としては喜ぶべき事だと思っています。

 

  作業現場で昼食用にメイ(パンの実)を焼いているスタッフ



 トンガでの仕事は活動も後半に入り、本格的なものとなっています。現在私は設計の段階から施工まで全てを任され、電話ケーブルを新設する工事をやっています。これは比較的新しい村(日本で言う新興住宅地)に電話回線を増やしていくものですが、トンガではもともとケーブルを地下に埋設する方法で行っていたので、どうしても土地の低い地域では電話がつけられない状況でした。

 

  電話用地下ケーブルは管路もなく直接土の中に埋めているため掘り出す時は「ここ掘れワンワン」状態でカンが頼り


そこで電柱に電話ケーブルを張る(架空ケーブル)方法を採用しました。スタッフは架空ケーブルを張るスキルが乏しく、どういった手順で工事を行うのか、又、工具の使い方等いろいろと問題はありますが、なんとか少しずつ工事は進んでいます。しかし、材料はきちんと点検して揃えても、それを取り付ける工具が無く工事がストップしてしまう事もよくあります。

例えば、電柱に穴を開けてケーブルを止めるための棒を通す時、その穴を開けるドリルが無いのです。まずスタート地点でつまずいてしまいます。トンガ中のどの工具屋を回っても電柱に穴を貫通させる程の長いドリルが無いのです。仕方なく電力会社に頭を下げて借りる事にしました。

又、その電力会社のスタッフ曰(いわ)く「電柱の建て替えが必要な時は言ってくれたら機械で穴を掘ってやるよ。すぐに掘れるから。」そこで、早速7本の電柱建て替えがあったので頼んだところ、約束の日よりも3日遅れて現場に大きな穴建車が来ました。

1本目の穴を掘り始めて数分後、「土地の低い場所にしてもかなり水が湧き出て来るなあ」と思ったら、なんと太い水道管をぶち破ってしまったのです。すぐに水道局へ行って修理を依頼したり散々な目に会い2本目の穴からは地道に人力で掘る事にしました。こんな具合でとにかくゆっくりゆっくり工事は進んでいます。

 

  トンガの男達が集って小屋で昼食をとっているところ 焼いたパンの実と魚のかんづめ



 日本で現場作業をしていた頃は、工具が無いと言う事はまず考えられませんでした。材料にしても、有りとあらゆる物がきちんと揃っていて、あれ程下準備が出来ている所で仕事をしていた自分は幸せだったんだと、つくづく思い知らされます。ここトンガでは、まず材料もまともに揃わない事が多いのです。

ある時上司に「これをなんとか電柱に取り付けてくれないか」と言われました。それは、どう見ても地下(マンホール内)で使用する物ですが、架空ケーブル用の材料が無いので代用品として使ってくれと言うのです。日本人から見ればあまりにもひどい話ですが、まともに材料が揃わない国では「これはマンホール内で使う物」と言う固定観念がないのです。なんとか工夫して使えるのであればそれで良し。電話の工事のみならず、電気製品の修理、自転車、自動車全てに当てはまる事なのです。

 

  帰国する隊員との送別会



 数ヶ月後この村の工事が完成しても日本のように見た目にも奇麗に仕上がるかどうかは疑問ですが、彼等には丁寧な仕事をする習慣を身につけてもらいたいと思っています。