現地隊員レポート             「りる」第50号より 

                                                    ウガンダ  M.S.
                                                             平成19年度3次隊
                                         家政
    

 

『ウガンダ便りU』

 ムリエンナ!(こんにちは。おげんきですか?)いつもオリーブのハンカチや香川県の情報誌など、送って下さってありがとうございます。私はウガンダで洋裁教師や、コミュニティでのクラフト指導をしています。

 私の配属先は「FDNC(貧困地域開発支援団体)」というNGOで貧困地域に住む子供達や、女性達を支援しています。

 お金がなくて学校に行けなかった子供たちや、早くに出産してしまって学校を退学してしまった女性達に、技術を教え、生計を立てられるようになってもらいたいと頑張って、毎日笑ったり、泣いたり、てんてこ舞いです。

「活動その1、洋裁教師として職業訓練校の組織改革」
  洋裁学科では生徒の技術力が低いので、技術向上の為に生徒自身に注文を取ってもらっています。しかし、校長は、学校の設備を使ってお金を稼ぐことに不満を持っていましたので、カウンターパートと共に、学校側のマージンをプラスした料金表を作りました。他のクラス同僚もカリキュレイションシートを使ってくれるようになりました。
その他マンスリープランなど書類を作成しています。

「活動その2、クラフト指導」
  洋裁クラスの技術向上の為に、生徒にクラフトを教えて販売しています。今までの売り上げよりは、生徒もお金が稼げるので、今までより作品の質が飛躍的に向上しました。

 また、コミュニティでは、材料費は払って貰い、クラフト指導をして作品の作成をしてもらい、その半数以上を買い上げて配属先のギャラリーで販売しています。


コミュニティでクラフト指導

「活動その3、カウンターパートへの技術移転」
  毎週金曜に宿題を出し、月曜に添削しています。カウンターパートが、「パターン用紙が買えないので勉強が出来ない。」と言うので、A4の紙に描けるように縮尺製図の描き方を指導しました。すると紙も時間も節約できるので、今までより宿題の提出率が上がりました。

 また、毎週月曜日にパターンメイキングの指導もしています。私が赴任した当初は正方形すら描けないカウンターパートでしたが、長期休暇中に毎日学校に来てもらい補習を行ったところ、今では垂直線、ヒップラインの描き方、タイトスカートのダーツの計算まで出来るようになりました。


同僚にパターンメーキングの指導

 また、長期休暇中に毎日学校に来てもらい、ソーイングの補習を実施しています。最初は直線すら縫えないカウンターパートでしたがミシンの針から1cmの所にテープを張ったところ、きれいな直線が縫えるようになりました。

「困っていること」
  私の学校では洋裁コース1年生と2年生の2クラス80人の生徒が学んでいます。しかし、設備不足のため十分な授業が出来ません。1年生のクラスに使用可能なミシンが3台、2年生のクラスに使用可能なミシンが5台しかありません。ミシンの使用順番が回って来なかった生徒は夜や土、日曜日も私の家に来て教室を開けてほしいと言います。

 足りない設備は、ミシン、アイロン、洋裁定規です。アイロンはそんなに高価ではないので学校側に努力をしてもらう方向で検討し、洋裁定規はダンボールで作って販売しています。ただ、ミシンは高価なので学校側の努力だけでは足りないので、隊員支援経費を申請したいと考えています。ミシンを入れた時の問題は、隊員が帰った後、使用上の不備により壊れないかと言うことです。ウガンダには物を丁寧に扱うという文化がありません。そこでミシンの使い方説明書をカウンターパートとともに作って、ミシンの使い方テストに合格した生徒のみミシンの使用を許可しようと考えています。

「日本とウガンダの文化の差」
  「なぜウガンダ人はお金を請うの?」と聞くと、「ウガンダではシェアするから。お金をあげないと、あなたが困った時、誰も助けない。」と言われました。しかし「困っている人を助けるな。」と言うわけではなく、「人に依存して努力しない人には、お金を上げる価値がないのだ。」と説明しました。最終的には「お互いの文化を見習おう。ウガンダのシェアはいい文化だけど、日本みたいに自立して努力すると自分の未来にいい影響を与える事も学ばせてもらった。」と言って貰えました。

「任国の人々との交流」
  任国の人々はとても人懐っこく、すぐ「うちの村においでよ。」と誘ってくれます。そして、洋裁教師だと言うとみんな「洋裁を教えて。」と言ってきます。しかし、ミシンがないので手縫いで巾着などを教えてみたところ、興味を示し、クラフトを教えて欲しいと言われました。そこで材料費は払って貰い、クラフトを教え、出来のいいものは配属先で販売しています。


コミュニティにて、外国人に怯える赤ちゃんと。

「ジェンダー」
  ウガンダでは、基本的には挨拶のときに女性が男性にひざまずいたり、女性が男性の足を洗ったりなど、一見しただけでは、男尊女卑に見える文化があります。しかし、尊敬や親愛の気持ちを示すために、女性同士でもひざまずいて挨拶をしたり、足を洗い合ったりします。

 また、男女で仕事の役割分担はあるものの、助け合いの精神が日本より強いので、お互い助け合っています。

 家には、生徒以外にも、近所の人や、タウンの友達が遊びに来るのですが、家に遊びに来る男の人は、言われなくても、ご飯の時は、生徒が料理するのを手伝うし、食器も洗います。

 むしろ私よりも家事が出来ると思います。

「ウガンダでの生活」
  ウガンダでの生活は朝起きたら水を汲みに行って、夜はろうそくの光で本を読んだり、といった非常にワイルドな生活です。村にはキャベツとトマトしかないため、お肉が食べたかったら、鶏を買ってきてさばかなければ食べられません。

 日本にいた頃は、「動物を殺すなんて。」と思っていたけれど、誰かがさばいてくれていたからスーパーにパックされて陳列されているわけで、お肉を食べるときに、鶏に感謝して、食べていますが、実際に自分がさばかなければならない状態になった時に、「感じることは違うなあ。」と感じています。


鶏をさばく

 ベジタリアンにはなれないけれど、「知識ではなく経験することによって、物の感じ方が変わってくるなあ。」と思う毎日です。

 毎日、楽しいことも、プリプリすることもあるのですが、日本にいたら、経験できない色々なことを経験しています。

 いまここで協力隊員として活動させてもらっていることに、感謝しています。


コーンロー、髪編み