現地隊員レポート    「りる」第42号より

                                                    ベトナム   J.H.
                                                             平成18年度1次隊前期
                                    
日本語教師                                                                


『ベトナムつれづれ日記』

 香川県青年海外協力隊を育てる会の皆様、いつもご支援ありがとうございます。私の派遣国であるベトナムの人々はたいへん親日家ですが、まだまだ東京や大阪くらいしか知らないので、送っていただいたパンフレットを見せながら、香川県を紹介しています。

 日本では寒い日が続いているのではないでしょうか。ベトナムは南北に細長く、南部のホーチミン市は一年中暑いのですが、私が住んでいる北部のハノイ市は、日本同様四季があります。とはいえ、冬でも日本の晩秋ほどまでしか温度が下がりませんが、ベトナム人の朝はとても早く、朝7時から授業が始まるので、寒いのを我慢しながら大学へ向かっています。

 早いもので、ベトナムヘ来て約半年が過ぎました。海外で長く生活した経験がない上、大学を卒業してすぐ訓練、そして派遣となったため、生活の面でも仕事の面でも初めてのことばかりで、あっという間に時間が過ぎていったように思います。この半年間、いろいろな出来事がありましたが、私にとって特に印象的だったことをいくつかご紹介したいと思います。

 もしみなさんがベトナムにいらっしゃることがあれば、たくさんの男の人に声をかけられることに驚くはずです。家を出た瞬間から目的地に着くまで、いたるところで呼び止められます。でも、それは残念ながらナンパではなくて、バイクタクシーの客引きです。

ベトナムはバイク社会で、特に私が住んでいるハノイ市では、ヘルメットなしで2人乗り、または3人以上乗っているバイクがあふれていて、クラクションが鳴り止むことはありません。初めは「うるさいなあ・・・。」と思っていたクラクションですが、今では聞こえないと少し心配になるくらいです。日本のように、信号が青であることを知らせる音楽はありませんが、青になった瞬間に後続のバイクがいっせいにクラクションを鳴らして知らせてくれるので、ぼんやりして信号を見ていなかった、なんて時でも大丈夫です

。また、排気ガス対策と日焼け防止のため、ベトナム人女性は、帽子、マスク、サングラス、長袖のシャツあるいは肩まである手袋を着用してバイクに乗っているし、子どもたちは蚊帳のようなものをかぶっています。初めてこの風景を見たときはとてもびっくりしましたが、今では私もベトナム人女性と同じスタイルで自転車に乗っています。

 ベトナムでの生活で、うれしいこともたくさんありました。私は日本でほとんど花束をもらったことがありませんでしたが、ベトナムに来てから、学生にたくさんの花束をもらいました。

  誕生会

たとえば、10月20日の「女性の日」や11月20日の「先生の日」の時です。どちらも日本にはないので、急に「先生、おめでとうございます!」と言われてびっくりしてしまいました。女性の日には男子学生が歌を歌ってくれ、先生の日には素敵なプレゼントももらいました。ベトナムの学生と先生の距離はとても近く、親しいのです。いつも「先生、先生!」と話しかけてくれ、いっしょに食事や買い物をしたり、家に招待してもらったりしています。10月に行われた「ハノイ日本語祭り」では、3年生の学生といっしょにパフォーマンス部門に出場し、日本語の歌を歌いました。

  「ハノイ日本語祭り」

 また、ベトナムの首都隊員ということで、大変貴重な体験もさせていただきました。昨年の11月、ベトナムでAPECが開催された際に、ハノイを訪れた安倍晋三内閣総理大臣ご夫妻主催のレセプションに招待していただいたのです。その席で、安倍総理大臣やベトナムのグエン・タン・ズン首相と、少しの時間ですがお話しさせていただき、協力隊として派遣されていることの意味や自分に求められていることについて再び考えるきっかけを与えていただきました。

 このようなベトナムでの生活全てが、日本では得がたい貴重な経験です。今香川県で生活しながら、私のことを応援してくれている両親や友達、そして協力隊を育てる会の皆様のおかげでこのような経験ができていると思っています。あと1年半、自分にできることを模索しながら精一杯活動し、成長して香川県に帰りたいと思っておりますので、これからもどうか温かく見守っていてください。