現地隊員レポート    「りる」第36号より

                                                    ベトナム   A.F.
                                                             平成16年度1次隊
                                     養護
                                                                


『任国ベトナムに着任して』

 私の任国のベトナムは日本よりやや小さく、南北に長い国です。ここに来る以前は「年中夏なので長袖はいらない」と勝手に想像していました。しかし、南のホーチミン市は年中暑いものの、私の住む中部ダナン市は四季があり、特に北に位置する首都ハノイでは冬は毛布がいるほど冷え込むのだそうです。

 白いアオザイの女子高生(制服)

現在のダナンの気候は、早朝は薄ら寒く、昼は真夏のような暑さです。そして雨季・・・。一日雨が降るわけではありませんが、降るときにはバケツをひっくりかえしたような土砂降りの雨になります。こうした気候に、ベトナムの人々は実にうまく対応します。朝、長袖を着ていたかと思えば、昼は半袖。雨のときは無理はせず、小雨になったときを見計らって、さっと行動するといった按配です。

1.かいこ料理(ゲテモノ料理ではない。ベトナムでは普通の食事)
2.ホイアン名物:カウラウ(ホイアンの麺類と言えばこれ。日本人が伝えたと言われる米の麺。底に沈んでいるだし汁にからませて食べる。)
3.ベトナム人家族の食事風景

 ベトナムは、観光地としても人気があり、私の住むダナンにも素敵なリゾートホテルがあります。町には電化製品が溢れ、一通りのものはなんでもあるため、一見「ここは発展途上国なのだろうか」という印象を受けます。しかし、多くのベトナム人の生活は実に質素なものであり、当初そのギャップにショックを受けました。

町に売られている洗濯機やクーラーを所有している人はほとんどいません。私の住む地域でも、朝や夕方は水が出なくなったり、一日停電になったりしますが、これも珍しいことではありません。そういう場面で、「停電いつになったら終わるのかなあ」とイライラする私に、近所の人は「さあ、いつだろうねえ」とさして気にもとめていない様子。物が無ければ無いなりの生活を楽しむことができるのがベトナム人なのです。

 私がベトナムに来て3ヶ月半、ダナンで聴覚障害児に美術を教えて1ヶ月が経過しました。日本の聾学校とベトナムの聾学校では教えている教科が全く異なり、私が日本で教えていた英語はありません。美術の先生がいないということで、美術を教えた経験はありませんが、思いきって引き受けました。

4.昨年学んだダンスを披露!
  ベトナムの生徒はダンスが大好き!しかもとっても上手なんです。動画で見せられないのが残念だなぁ!
5.授業の風景。紙を切ります。まっすぐ切るのが案外難しい・・・

現在は、ベトナムの美術指導書を読んでベトナムの美術教育を把握しながら、日本の工作アイディア集などを用いて授業を進めています。ベトナムの美術では美術ノートブックのようなものがあり、ノートの小さな枠の中に絵を描き込むのが一般的です。もっとさまざまな美術を体験させてあげたいと思うのですが、学校や生徒に金銭的余裕がないため、画用紙や道具を購入することは期待できません。

  6.ドラえもん絵描き歌(ベトナム語バージョン)
  (ドラえもんはベトナムの子どもに大人気なのです)
 
生徒から新聞、トイレットペーパーの芯など集められるものをすべて集め、どんな授業が可能か毎日知恵を絞ります。アイディアがなかなか思いつかず苦心しますが、生徒が「次の美術はなにをするの」と楽しみにしている様子を見ると頑張る元気が湧いてきます。また、物が十分にあり、指導書に沿って授業をすることに慣れていた私にとっては、いい勉強をさせてもらっているという感じです。まだ、1ヶ月・・・次の「りる」で楽しい活動がお知らせできるよう、引き続き頑張りたいと思います。