ザンビアより       「りる」第31号より

                                                    ザンビア   T.T.
                                                             平成13年度1次隊
                                          養鶏
                                                                

 ザンビアは赤道に近い国ですが、比較的標高が高いため、一年を通しとても暮らしやすい所です。(概ね10℃〜35℃)世界3大瀑布のビクトリアの滝はザンビアとジンバブエの国境に位置します。気候は雨季と乾季に分かれ、農業は殆ど雨季のみ行われます。 主食はトウモロコシの粉を煮て団子のような固さに練ったシマと呼ばれるもので、手で食べる大きさにちぎりながら、野菜や魚などの調理したものと一緒に食べます。

 私はザンビア北部のルアプラ州マンサというところに派遣されています。当初、小規模な職業訓練所が開設され、一部門として養鶏の指導をする予定でした。

 ところが、任地に赴任直前にプロジェクトを進めていた人が亡くなり、実質その人一人でやっていた活動であり、受け入れるところがないという状況でした。

それでも地元の養鶏場に技術指導で回ったり、養鶏を始めたいという農家や若い人のグループにアドバイスをしたりしていました。赴任して5ヶ月ほど経ったとき、地元の若者数人とアメリカのボランティアと一緒に、新しくNGOを立ち上げようという話になり、2001年12月に正式に発足しました。Luapura Families in Distress(略称LUFAID)といいます。これまで孤児の学費の援助や井戸の設置、HIV/AIDSの予防や栄養状態改善に関するワークショップを催したり、町での募金活動などをやってきました。その中で最も重要になっている活動が、農場経営です。

 地元のチーフ(伝統的権力者)の賛同が得られ、57ヘクタールの土地が無償で貰えることになり、そこにモデル農家を作ろうという計画です。収穫物は組織の資金源(と食糧源)となります。

まだ始まったばかりで今は僅か2ヘクタールで、収穫もこれからという段階なのですが、荒地だった土地が耕され、作物の緑が広がる様子はいつ見てもいいものです。トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモ、ヒマワリ、落花生、雑豆が植わっています。米も試験的に始めており、これは専ら私の担当です。任期を終えるまでには、自分の手がけた米のご飯を食べたいと、楽しみにしています。

 専門外のことばかりで、地元の人に聞きながら、資料を集めて勉強しながらで、失敗も多いですが、農場を任せているザンビア人がとても真面目によくやってくれるので、何とかなっています。彼も農業の経験者ではないのですが、その分今後が楽しみです。それに、5月には彼の初めての赤ちゃんが生まれる予定で、こちらも楽しみです。

 そうそう、養鶏のほうはとにかくやって見せることだと思って、赴任してすぐに近所の青年と小さな鶏小屋を建て、飼育を始めました。その後、町での売れ行きもよく(一輪車に籠を載せて私が売り歩きました)、次はいつだとあちこちで声をかけられます。鶏を猫や病気や泥棒にもやられたりしながらでしたが、今は場所も移し、ザンビア人がやっています。餌代が高いので利益がとても少ないのですが、将来的に自給飼料でやることを描いてやっています。

 そんな感じで、毎日楽しくやっています。尤もマラリアに罹った時はしんどかったですが、そんな時も周りのザンビア人に世話して貰って、安心して寝ていられました。ビクトリアの滝を見に行った以外、特に旅行にも行かず、余った生活費を全てNGOの活動資金にしています。農場経営が軌道に乗るまでは援助し続けたいと思っています。出来たばかりのNGOに資金援助してくれる人もなく、今はこれでいいかなと思っています。

 問題は任期終了後です。方法面でも確立しているわけでなく(農業も他の活動も)、どのように存続していけるかなというところです。
 まあ、しかしあと4ヶ月あるので(2月7日現在)これからの活動で今後の方向性を見出すことが今の課題です。
 それでは、また。